その後のことは、ぼんやりとしてよく思い出せない。染谷の白濁は、間もなくシャワーで丁寧に洗い流された。そこまでは何とか覚えている。その後、おそらく同じようなゲームを他の会員ともさせられた。結果は?約半数程度だろうか、何名かの精を子宮に受け止めたような気がするが、あれは誰のものだったのだろうか?睡眠不足と栄養不足の中で延々と与えられる苦痛と快感に、里穂の脳は耐えきれず、意識を遮断してしまったのだ。
気が付くと、バスに揺られていた。往路に着用していたのと同じ、星園学園の制服を纏っている。どうやら、宿はチェックアウトして、今は帰路についているのだろう。
「やっと起きたのね。だらしないったらありゃしない」
聞き覚えのある侮蔑的な声の主は、英玲奈だ。
「やあ、里穂先生、睡眠しっかりで、もう元気モリモリといったところじゃないか」
権田が冷やかす。
(ああ、やっと帰れる…)
意識の回復とともに、自分があの忌まわしい温泉宿を発ったことを認識し、ほっと安堵のため息が漏れる。だが、権田の口からは、里穂を再び絶望に陥れる宣告がもたらされた。
「問題発生だよ。会員様たちから昨夜の君の態度について、クレームが出ているんだよ」
「ど、どういうことでしょう…」
「つまりだよ、君はさっさとプレイを終わらせるのに躍起になって、全然奉仕の精神が欠けていたというんだ。そうなのかね?」
「そ、そんなの言いがかりです。皆さん、興奮なさって、満足されていたじゃ…」
「ふん、楽しんでいたのは君のほうじゃないか?僕は、とんだ『時短姫』、『地雷嬢』を引かされた気分だったよ。全く、大金をはたいてこんなんじゃあ、やってられない!」
弁明を試みる里穂を遮るようにわめいているのは、日置だった。一番最後に入会した彼にとっては、プレイの機会はごく限られており、個室でのセックスもごく短命に終わってしまったことが、やりきれないのであろう。「後日いくらでも抱かせてやる」と権田に宥められても、どうしても気が済まないようだ。
「まあ、国光さんくらいまではかなりご堪能いただいたとは思いますが、他の方は若干消化不良があったかもしれませんな。里穂先生も、気を失って、どうなるかと思いましたが、このとおり、元気になってお目覚めのようだ。会員様のご希望にそって、少し延長戦といきましょうか」
「そ、そんな勝手なことは…」
里穂の拒絶も、男たちの大歓声に掻き消された。
まもなく、バスは高速道路を降りて、都内の下道を走り始めた。里穂は、周りの風景に、胸騒ぎがした。
「…あの、どこへ向かっているのですか?」
「ん?分からないか?君たち姉弟のお家だよ。今日はせっかくだから、君らの変態姉弟の生活状況の把握も兼ねて、父兄の皆さんと家庭訪問することに決めたんだ」
「嫌よ!そんなのイヤ、絶対ダメです…降ろして、もうここで下ろしてください!」
てっきり権田の屋敷に連れ込まれるものと思い込んでいた里穂には、ショックが大きかった。なにしろこの人数だ。自分と純平を除いて総勢十名に自宅を踏み荒らされる等、悪夢以外の何物でもないではないか。
染谷や原口の息子たちに自宅で嬲られた時の悪夢がフラッシュバックして、吐き気を催しそうになる。いや、この中年男性達は、若い高校生よりもさらに陰湿で、過激だ。おまけに昨日からの凌辱劇で、とうに理性が吹き飛んでしまっている。あの日以上に凄惨な責めを加えられることは、確実なのだ。
(里穂には知る由もなかったが、権田が今朝配布した勃起薬の効果は未だ減退していなかった。持続時間は約十時間、射精の回数にして四、五回を経なければ収まることがないと言われているほどの強力な薬効だ)
「おやおや、里穂先生はひと眠りしてすっかり元気がよくなったな。嬲り甲斐があるってもんじゃないですか、ねぇ、皆さん!」
権田が煽ると、車中は淫鬼たちの叫ぶ雄叫びで、異様な熱気に包まれるのだった…