里穂は『樫の間』へと急いだ。
「しっかりマンコとケツ穴締めていけよ。中で出させたことがバレたら、大変なことになるぞ」
小走りする間、里穂の頭の中で国光の警告が鳴り響いている。前後の穴に注がれた精液を拭う時間すらなかった。国光にだけ、膣内射精を許したことが露見したら?きっと、嫉妬に駆られた男たちは我も我もと主張してくるだろう。そんな恐ろしい光景が脳裏に浮かび、里穂は、震え上がった。嫌悪すべき卑劣漢の体液を抱きしめるようにして、歩を進めるしかなかった。
『樫の間』にたどりつくと、そこには国光と純平の二名以外は、既に全員集合していた。約束の七時まで、一分前というタイミングだった。
男達は、浴衣の帯も外しており、中には下着も何も着用していない。昨日思いきり精を吐き出したことなど、すっかり忘れたかのように、見事に反り返った勃起を誇示している。それも、七人中七人が一様に、だ。里穂は、思わず目を逸らせてしまう。
「ふふ、皆さんの逞しさに、さすがの里穂先生も気圧されてしまったみたいですなぁ」
狼狽を隠し切れない里穂を、権田が茶化す。実は、朝食券と一緒に、権田は保護者達に強力な勃起薬を配っていた。薬の効果は覿面で、男たちのイチモツはものの三十分でフル勃起状態になったまま、収めようとしても収まらないほどだった。
「理事長、こんな効き目のすごいものを、どこで手に入れたんですか。是非、まとめ買いしたい!買わせてください!いくらですか?」
勃起薬の効き目に、男たちは歓喜の声をあげた。なにしろ美人教師と交わる立場を得たところで、自分の身体がいうことを聞かなければ意味がない。強靭な屹立を授けられた男たちは、ますます権田の力を畏怖するようになった。
「かなり高額、とだけお答えしておきます。まあ、価格のことは、追々相談しましょうや」
権田はほくそ笑んだ。
(借金漬けの薬漬けにしてやるぜ、貧乏人共が)
男七名によって、里穂は浴室へ連行された。
「里穂先生、全身を使って、会員様の身体をきれいにしてさしあげろ。まずはその身体の上でしっかり泡立てていくんだ」
権田の指示通り、ボディーソープを風呂桶の中で泡立て、自分の肌の上にまぶしていく。だが、夜通し続けられた凌辱で、女の体力はとうに限界を超えていた。まともに食事も睡眠も摂ることを許されなかったため、意識は朦朧とし、動作は緩慢だ。英玲奈が舌打ちしては、会員達を煽る。
「皆さーん、この女は昨日気持ちいいことのし過ぎで、少し頭が鈍くなってるみたいです。そういうときはぁ、言葉より鞭が手っ取り早いんです。そら、こんな風に」
英玲奈の鞭が、泡まみれの里穂の尻をピシャリと叩く。肉が、ブルっと波打つ様子に男たちは魅了された。
「本気だしてやらないと、みんなで鞭打ちの刑よ。全身アザだらけになりたくないでしょ?」
鞭の恐怖に駆り立てられ、里穂は必死で身体を男たちに擦りつけた。リクエストに応じて、胸や内腿、そして尻肉を使って、中年男性達の肌を磨いていく。男たちは亀頭をクレバスにグイっと突き立ててくる。勢いあまって、里穂の股間と正面衝突し、亀頭の先端が体内にめり込む。生ペニスの侵入に怯える里穂は、権田に助けを求めるような視線を送るが、ニヤニヤと冷たい笑みが返されるのみだ。
「背中も流し終わったところで、皆さんお待ちかねの、マットプレイに移りますか」
権田の言葉に、男たちは大歓声をあげた。
(マット、プレイって?一体、何をさせられるの…?)
染谷と原口が、浴室の壁に立てかけてあった巨大な物体を床に敷いた。サイズは、ダブルベッドほどだろうか、空気がパンパンに充填されたビニール製のそれは、ソープランドやマットヘルスと呼ばれる風俗店で利用される、簡易式のベッドだ。
「皆さん、泡姫と遊ばれたことはありますよね?今日は新人が入ったと思って、ビシバシ特訓してやってください」
会員達は、もはや子を持つ親としての外面や良識などかなぐり捨て、まるで風俗店の店長にでもなったかのように、次々と淫らな技を里穂に伝授していく。大きな風呂桶いっぱいに並々と注がれたローション原液を、温泉の湯で溶いていく。人肌よりも一、二度熱い、快適な潤滑油の出来上がりだ。
「まずは、ローションを身体全体にまぶす。それで、ヌルヌルテカテカになったら、全身をマットの上に滑らせて、それでローション液をマットの上全体に馴染ませるんだ」
うつ伏せのまま、マットの端に手をかけ思いきり身体を引っ張る。すると、身体とマットの襞の間に充満したローション液の助けにより、全身が勢いよく滑る。面白いように滑らかにマットの上を走る女体の卑猥さに、男たちは涎を垂らして見入っている。
滑らかに女体がスライドする度に、ビニールの素材との間に乳首がすれる。妖しい感触に、里穂は切なげに睫毛を震わせる。もう、十分だろうかと恐る恐る首をひねって後ろを振り返ろうとした矢先、一斉に尻の柔肉の上に鞭の嵐が飛んだ。
「バカ野郎、やめていいと言われるまでは続けるんだよ!」
「もっと尻をクネクネしながら、誘うようにだ!」
男たちは競うように里穂の尻を打つ。
「ああっ、ごめんなさい、言うとおりにしますからっ、もう、打たないで!」
「じゃあ、まずはその乳首を擦りつけるようにして、客の背中上を滑るんだ」
「ああん、こ、こうでしょうか?」
一番初めにマットに上がったのは染谷だった。コリコリに勃起した乳首を背中の上で遊ばせる。暖かいローション液まみれになって肌を触れ合わせる。里穂は、性玩具に落とされた哀しさも一瞬忘れて、頭の中が多幸感に包まれてしまう。悦楽に身を委ね、蕩けるような表情を晒してしまっていた。
「へへ、ソープ嬢が自分でそんなに気持ちよがってちゃ、世話ねえよな、ははは」
揶揄われ、ふと我に返るが、またぞろ肉の悦びが立ちあがってくる。
「ほら、次は、大股の付根で俺の足を挟んで、それで擦りつけてみろ」
染谷の足は、びっしりと体毛で覆われていた。反対に、恥毛を一本残らず剃り上げられていた里穂は、もじゃもじゃとした茂みが与える刺激に、翻弄されている。ごわごわした体毛に柔肉を擦りあげられ、ビクンっ、と身を強張られる様が、たまらなく淫らで、嗜虐心を掻き立てる。
「ふふ、里穂先生はパイパンだったな。これは、本来『束子洗い』というサービスで、女の陰毛で男を磨き上げる業なんだがな。理事長、どうです、そろそろ里穂先生にもマン毛を生えさせては?」
権田は、苦笑いとともに言う。
「これは、やられました。そうですな。初めはチクチクとして痛いかもしれませんが、会員様の希望ということであれば、承りましょう」
ざらついた摩擦は、里穂の理性と抵抗心を溶かしていった。夢遊病者のようにトロんとした目つきで、染谷の身体の上を這う。そのうち、今は仰向けとなった染谷のペニスを、うっかりと割れ目に受け入れてしまった。
「ああん、ち、違う、失礼しました」
はっと我に返ると、腰を浮かせて挿入を解こうとするが、染谷の両腕に腰を抱きしめられ、逃れようにも逃れられない。ローション液をたっぷりまぶされた二つの性器は、重力の導くままに、少しずつ接触の深度を深めていく。まるで蟻地獄に嵌ったように、里穂の腰は、染谷の剛直に吸い寄せられていく。
「ダメ、ダメです、もう、もう抜いてください!困ります!」
「店長さん、この娘、自分から本番しかけておいて、客を非難する気ですよ?どういう教育してるんですか?」
染谷が、質の悪い客を演じた小芝居を始めると、権田が調子を合わせる。
「申し訳ございません、お客様。コラ、君。お客様に向かってなんて態度だ」
「で、でも、このままでは…」
「生で入ってから、ゴムを着けたりなんかしたら、興ざめじゃないか!そんな興ざめなことをされるくらいなら、もう帰る。金を返してくれ!」
「大変失礼をいたしました。この女には厳重注意をしておきますので…おい、里穂君。お客様がカンカンじゃないか。ここまで来たら、もう生でやるしかない。君が仕掛けたことだぞ。店はなんら関与していないからな」
染谷と権田の三文芝居に、男たちは大盛り上がりだ。なにしろ、生の女肉を堪能できる可能性が出てきたのだ。
「いいか、里穂君。君の身体も大事だからねぇ。なにも『生中出し』までさせろとは言わない。射精する寸前で引き抜くといい。だが、何度も出たり入ったりしたらそれこそお客様に失礼だ。チャンスは、そうだな、一度きりだ。もし射精のタイミングを見誤ったりしたら、くくく、その時は覚悟を決めて、たっぷり子宮にぶっかけてもらえ。そら!」
権田によって、性戯のルールが定められた。里穂は、染谷の反応を見極めて、射精のタイミングを慎重に見極める必要がある。染谷は、腕を頭の後ろで組んで、余裕の表情を浮かべている。里穂はといえば、時折角を突き立ててくる染谷の腰の動きに翻弄されるばかりで、断続的に甲高い悲鳴をあげて悶えている。
「ねぇ、そんなんじゃ、お客様のサイン見落としちゃうよ?そんなに中で出してほしいのかしら?」
「ああ、だって…こんなに、当たって…」
英玲奈に指摘され、里穂は思わず言い訳をしようとするが、性感に乱れてしまっていることを告白する形となってしまい、羞恥のあまり言い淀んだ。
肉の悦びをなんとか制御し、目の前の染谷の表情をしっかと見つめる。だが、その努力を嘲笑するように、染谷の腰が小刻みに律動し始めると、もはや里穂は理性の崩壊を食い止めることができなくなった。甘い痺れが下半身を覆いつくし、意志を持った別の生物のように腰を上げ下げしはじめる。支えきれなくなった上体が、染谷の胸に崩れ落ちた。
「おいおい、ギブアップか?」
「もう、き、気持ちよすぎて、お、おかしくなっちゃう…」
「へへ、そうかよ。じゃあ、おれも遠慮なくゴールさせてもらうぜ、悪く思うなよ」
「ああ、待って、待ってくださいっ!」
射精を予告されたにも関わらず、身体が言うことを聞かない。男根に吸い付いた媚肉は、染谷を愛おし気に愛撫するばかりで、一向に離れようとしない。
(ああ、どうにでも、なればいいのよ…)
キーパー不在の無人のゴールにシュートを決めるように、染谷は悠々と里穂の秘奥に白濁の飛沫を浴びせた。熱い濁流に、子宮口が呑み込まれるような錯覚とともに、里穂は、気を失った。