日曜日の午後から、月曜日の出勤までは、里穂は権田の屋敷で過ごすことになった。午後十三時ちょうどに、濱田の運転する権田家の高級車が、マンションの前に横付けされる。
「ふふふ、華谷里穂先生、ずいぶんご活躍だそうですな。ガキ共を買春するのは卒業して、今度は保護者から大金巻き上げているそうじゃないですか。ずいぶん貯めこんだんじゃないですか?」
「ち、違います、誤解です」
「ほう、何が違うのですか?」
「あれは、無理やり…いえ、そもそもあなたには関係のないことですから!」
屋敷までの道のり約三十分間、里穂は、濱田と二人きりの時間を過ごさなければならなかった。濱田は、権田から里穂の痴態を収めたビデオの一部を与えられているようで、里穂が拒もうともお構いなしで、身勝手な品評を延々と垂れ流し続けるのだった。
「私ねぇ、見ちゃったんだよね。里穂先生が、あんな大人数の男たちとマットプレイをしてるところ。オヤジたちの指導で、段々上手になっていくところ、たまんなかったなぁ。ほら、このスマタなんて、すっかり板についちゃって。本物の泡姫も顔負けじゃないか」
濱田は、ダッシュボード横に固定した自分のスマホで、慰安旅行でのマットプレイの様子を収めた動画を再生しながら運転を続けているのだ。
「もう、止めてください。こんなもの、見たくないんです」
「へへ、お断りしますよ。しがない高齢者の、唯一の愉しみなんだから」
里穂を乗せたセダンが、権田の屋敷の門をくぐる。ようやくこの不愉快な男から解放される。そそくさと下車しようとする里穂を濱田が制止した。
「えっと、お駄賃をもらえる話になっているんですがね」
「どういうことですか…」
「フェラしてもらえると聞いてたんですがね」
ふと濱田の下半身が目に入った。呆れたことに、いつのまにか下半身を剥き出しにしているではないか。
「そんなこと、聞いてません!もう、行きますから。それ、しまってください」
「はぁ、そうですか…残念だ。まぁ、もしお駄賃もらえない場合は代わりにもっと過激なシーンの動画をいただける話になっているので、それでも構わないんですけどね」
「なんですって!」
「聞いた話では、里穂先生、浣腸プレイや、アナルセックスも対応済みですって?ワクワクするなぁ、里穂先生のお尻の穴が見れるなんて」
「…困ります、それは」
「ん?じゃあどうしたいんだい?」
「くっ…わかりました、お口で、すればいいんでしょ」
「ま、先生がしたいならそれでもいいよ。でも人にモノを頼むときの礼儀はわきまえてほしいなぁ」
「むっ…お願いします。お、おしゃぶりをさせてください」
結局、里穂は権田家の敷地にたどりつく度に、濱田の男根へ口唇奉仕をさせられる羽目になった。
玄関口で、権田が里穂を迎える。
「よく来たな。久しぶりだろ?ゆっくりしてくれよ。君の面倒は、彼女が見てくれる」
権田の傍らにはメイド服姿の女性が控えていた。白人とのハーフか、クォータだろうか、メイドの顔立ちは極めて西洋的だ。上背も、百七十センチはある。歳は、里穂と同じか、少し若いくらいだろうか。メイド服のスカート丈は極めて短く、今にも中が覗けてしまいそうだ。彼女もまた、権田の性欲を満たす役割を担っていることは、明らかだった。
「エリス、と申します。何なりとお申し付けください」
「どうだ、お前にも劣らない美女だろ」
権田は、自慢するようにエリスの腰を抱き寄せ、そのまま内腿からスカートの中に手を忍ばせた。エリスは、曖昧な笑いを浮かべ、やんわりと権田の手を退けながら、里穂を屋敷の奥へ導いた。
「では、里穂さん、ご案内いたしますわ。こちらへ」
里穂が通された一室は、エステ、マッサージなどの施術を行うための部屋だった。
「旦那様にお楽しみいただけるよう、里穂さんの身体の『調律』をいたします。どうぞ、こちらの下着にお着替えください」
エリスは、言葉尻こそ丁寧だったが、声色はどこか人を小ばかにしたような冷たい響きがあった。『調律』という言葉から、何かしら身体に施術をされであろうことは想像できたが、物のように扱うと宣告されるようで、里穂を急激に不安にさせた。
里穂が渡されたのは、ガーゼ生地のブラとパンティの上下だった。生地は、ごく薄く、乳首がうっすらと透けている。エステなどの店では一般的なのだろうが、そうしたものを利用したことのない里穂は動揺してしまう。
身体をモジモジとさせながら、更衣室から施術室に戻ると、そこにはエリス以外にも二人の若いメイド女性が待機していた。
「今日は、私たち三人が里穂さんの施術を担当いたします。どうぞ、そのままベッドに横になられてください」
「あ、あの、何を、するんでしょうか?」
「ふふふ、心配しなくても大丈夫ですよ。ほら、全て私たちに任せて、頭の中を空っぽにするといいですわ」
「そうです、自分の身体の反応だけに集中すればいいんです。こうすれば、邪魔なものが目に入らないですよ」
女たちは、ベッドに横たわった里穂に、アイマスクを被せると、あっ、というまもなく、両手両脚をベッドの足に拘束してしまった。Xの字の形に、無防備な身体を開かされる里穂。その肌の上を、エリス達三人の女が、クスクスと笑いながら、指先で撫でまわす。
「ああ、そんな風に、触らないで…」
視界を奪われているせいで、一本の指先から与えられる刺激のすべてが予測不能だ。
「すぐにリラックスできますから、安心して」
ベッドの脇に据えられたアロマディフューザーからは、甘いイランイランの香りつきの蒸気が吹き出され、鼻孔を心地よく刺激する。ヒーリング系のBGMとも調和し、身体の強張りが少しずつほぐれていく。
やがて人肌程度に温まった液体が、お腹の辺りに注がれた。しっとりとしてほどよい粘性を帯びたマッサージオイルが、六本の手によって全身に隈なく引き伸ばされる。土踏まずから脹脛、内腿の付根にいたるまで、リンパ腺に沿って程よい指圧が加えられる。上半身に関しては、肘から二の腕の肉をブルブルと揺さぶる。敏感な肌は、他人の手指に身構えたが、オイルの温かみにより少しずつ緊張がはがされていった。
「ああ、これは…」
十五分も経つと、里穂はもうすっかり心のガードが解かれ、ゆらゆらと夢と現実の間を彷徨っているような浮遊感すら覚えていた。
「だいぶ蕩けてきたみたいですねぇ?こうなると、女ってとっても弱いのよ。そーら!」
エリスが、たっぷりとオイルをまぶした手の平で両乳首を軽く撫でる。触れるか触れないかというくらい微かに接した手の平がもたらす円運動に、里穂は総毛立った。
「あああっん!」
「いきなりそんなに大きな声を出したら、はしたないですわ。旦那様はおしとやかな女性がお好みですのよ」
「ああ、ごめんなさい、で、でも…」
ほんの少し乳頭を掠めただけなのに、全身がブルっと震えるほどの快感が駆け抜けた。
「こんなに敏感になっちゃうなんて、里穂さんってすっごくスケベなのね」
「ほんとよね、ちょっと心配になっちゃう。こんな状態で旦那様のあれで突かれたら、ふふふ、どうなっちゃうんだろうね」
「ああ、もうおっしゃらないで、恥ずかしい…」
たしかに、文字通り毎日セックス三昧の爛れた日々を送っていたせいで、身体の反応は日に日に成熟を極めていた。愛液の分泌から、絶頂に達する頻度に至るまで、性感のポテンシャルが著しく高められていく。そのことは、十分すぎるほど自覚していた。。
だが、それにしても今日の身体の反応は、異常だった。性器への接触は未だなされていないというのに、絶頂寸前の状態で留め置かれているような感覚すら感じるのだ。膣から、大量の愛液が後から後から湧出してくるのが、触れなくても分かる。
里穂は知る由もなかったが、施術にはいくつもの仕掛けがあった。まず、アロマディフューザーから放たれる蒸気には、意識の混濁を促す催眠成分が溶け込んでいた。肌に塗り込められたマッサージオイルには、全身の神経を高ぶらせ、肌への刺激を増大化する麻薬が微量ではあるが、含まれていた。さらに、与えられた下着のクロッチ部分には、愛液の分泌を促す薬剤が塗布されていたのだ。それらの薬効に加え、視界を奪われたうえで、三人の美しい女性による愛撫が相まって、里穂はいつになく深い悦楽の沼地に嵌りこみつつあった…。
里穂が抵抗しないことを確認すると、エリス達は手と足の拘束を解き、里穂の身体をうつ伏せにさせた。背中から尻に向かって、再び温かいオイルが降り注ぐ。複数の手が、尻たぶを掴んで、ブルブルと揺さぶり、揺れを愉しんでいる。そのまま指圧マッサージをしながら、指がほんの少しずつヴァギナの方へにじり寄ってくるのを感じると、里穂はたまらず身を捩って悶えた。
「あらあら、そんなに暴れては落ちてしまいますわ、少しじっとしていてください」
「ああ、でも、でもぉ…」
激しい刺激だが、薬の効果で身体に力が入らない。幅細のベットの上を、窮屈気に里穂の四肢が跳ね回る。
「そろそろ、準備オッケーかしらね」
荒い呼吸を整え、女たちに支えられながら、里穂はどうにかベッドから立ち上がった。お名残惜しそうに、エリスが里穂の背中にツーッと舌を這わせて舐め上げた。里穂は、「はぁぁぁん!」と嬌声をあげながら、上体のバランスを崩して膝に手をついてしまう。
「まぁ、元気がいいわねぇ」
「もう全身性感帯状態じゃないの。今なんてクリトリス舐められたみたいに喘いじゃって」
「こんなに敏感な身体を旦那様にいっぱい可愛がってもらえて、羨ましいわぁ」
女の弱さをさらけ出す里穂の姿を、メイドたちはうっとりと眺めながら、堪能している。
バスタオル一枚を身体に巻き付けられた状態で、里穂は別室に誘われた。
(この部屋は…)
その部屋の扉の前に立った時、里穂は気が付いた。ここは、かつて里穂が半年間この屋敷に住まわされていたころに与えられていた部屋だ。忌まわしい処女喪失の記憶、頑なに思いだされることを拒んでいた過去が間歇泉のように吹き上がってきた。
エリスがノックをすると扉は内側から開いた。バスローブ姿の権田が、そこに立っていた。
「旦那様、すっかり仕上がってますわ。ちょっとマッサージが聞きすぎたかもしれません。少し手加減して差し上げないと、お可哀そうよ」
「そうか、ご苦労だったな」
権田は、里穂の手を取って部屋の中へ誘った。扉が閉まる。権田と二人きりなった里穂は、不安で押しつぶされそうになった。異常なほど感度を高められた肉体でもって、最も憎むべき男と対峙しているのだ。獲物を見つめるような権田の眼力を感じ、里穂は視線を泳がせてしまう。
部屋の中は、驚いたことに、九年前に里穂が屋敷を出た時から何一つ変わっていない。
「お前がいつ帰ってきてもいいように、そのままにしておいたのさ」
「な、何をバカなことを…あああ!」
権田が、バスタオル一枚の里穂の腰をグイっと引き寄せ、抱擁する。左手を腰に添えて、右手は頭頂部から後頭部を優しく撫でた。無理やり押し倒され、強姦されるものと思っていた里穂は、当惑の表情を浮かべている。
「すまなかった、里穂。お前には、辛い思いばかりをさせて、申し訳ないと思っている」
「…今更、そんなことを言って、私、絶対に許しませんから」
「ああ、許してくれなんて言わないさ。ただ、せめてもの罪滅ぼしに、この屋敷にいるときくらいは、寛いでいってほしんだ」
「何を言ってるのか、分かりませんっ、んんんっ!」
権田が、里穂の唇を奪った。拒もうと思いきり唇を閉じ合わせるが、バスタオル越しに伝わる権田の肉体の感触が里穂の神経を痺れさせる。あっ、と唇が半開きになった拍子に、権田の舌が里穂の口腔に侵入してきた。情熱的な唾液の交換に、なす術もなく応じてしまう自分を、忌まわしく思う。だが、意識はいつしか舌と舌の絡まり合いに集中してしまう。
里穂の背中のバスタオルの結び目に権田の手が伸びる。スルっとタオルの生地が白磁の肌の上を滑る。その摩擦がもたらす刺激にすら、里穂の過敏な皮膚は大袈裟な反応を示してしまう。権田がそんな里穂の背中を愛おし気に愛撫する。しっとりとした多幸感が、胸の内に去来し、里穂は狼狽した。
「さっさと、一思いに犯せばいいじゃないですか。どうしてこんな、回りくどいことを…」
「俺は、大切にしたいんだよ、お前のことを」
「ウソよ!あんなに、ひどいことをさせておいて、どういう神経をしているんですか!」
権田の甘い言葉に心を揺さぶられている自分を叱咤するように、里穂は必死で呪詛の言葉を投げつけた。だが、身体の芯が痺れて、目には力がない。次にどんな風に肌を撫でられるのかを、不安と期待を持って待ちわびてしまっている。里穂自身も、そのことを自覚していた。
権田は、里穂を導き、シングルベッドの上に座らせた。足首を掴むと、足裏や指の間にキスの嵐を投げつけた。ペロペロと子犬のように脹脛や、裏腿を舐めしゃぶってくる。
会員達に包囲され、自宅の床に転がされ、全身を舐め上げられた記憶が蘇ってくる。だが
彼らの攻撃的な舌使いとは全く異なり、今日の権田のそれは、ほとんど「奉仕」といえるほど丁寧だった。それは、いうなれば『慈愛』に満ちた行為のように思えた。里穂は、ジリジリの花園に迫る舌を待ちわび、ごくりと喉を鳴らしている自分に気が付き、慄然とした。
「小鼻がピクピクしているぞ。里穂、ほんとうに可愛い娘だ」
「う、うるさいっ!し、しりません」
「素直になるんだ、里穂。いいんだよ、気持ち良くなっても。受け入れるんだ」
権田が乳首やクリトリスに手を出すと、里穂の抵抗はあっけなく崩壊してしまった。くたくたと乳房を揉みこみ、乳頭を中指で転がす。さらに舌は肉芽をチロチロと舐めまわす。里穂は身も世もなく叫びたてながら、哀しいほど身体を弓なりに沿わせ、長い絶頂を極めた。
(どうして、この男は、私たちの人生を、無茶苦茶にしたのよ。こんな男なんかに、心を許しちゃだめ!絶対にダメなのに……)
望まない絶頂は、もちろん初めての経験ではない。これまで何人の男に狂わされたか、数えきれない。だが、今夜の里穂は、身体だけではなく、心の底から、権田に屈服しようとしていた。
巧妙に仕組まれた薬のせいもあったが、それだけではない。連日の性虐待で、傷ついた里穂の心は、欺瞞に満ちた優しさにすら、なびいてしまう。ベッドで肌を重ね、権田の剛直が、尻や腿に触れる度に、狂おしいほどそれが欲しくなる。優しい抱擁とともに、自分の空隙をペニスで埋めてもらいたい。とても口には出せないが、潤んだ瞳は、挿入を懇願していた。
「聞きたいな、里穂のおねだりが」
「く、悔しい、私、悔しいわ…でも、欲しいんです。もう、挿入れて、入れてください」
「もっと、もっと言ってくれよ」
「ああ、どう言ったらいんですかっ!お、叔父さんのおチンチンを、里穂の中に、入れて!」
「初めて叔父さんって言ってくれたね。だけど、それじゃあちょっと気が引けるなぁ。名前で呼んでくれないか?」
「…し、繁晴さん、里穂に、入れて。私、したいの、せ、せ、セックス…」
一度墜ちてしまうと、不思議なほど抵抗なく屈従のセリフが口を突いて出てくる。とにかく、もう交わりたい気持ちでいっぱいだった。
権田の肉刀が、里穂に迫った。真珠入りのグロテスクなペニスを受け入れるべく、いまや里穂は、自らの両手で、花弁を押し広げてさえいる。権田は、まるで処女を相手にするように、慎重に切先を沈めていった。
「初めての時も、これくらい優しくしてあげればよかったな…」
「ああ、あの時、とっても恐ろしかったわ。いっぱい、いっぱい泣いてるのに、全然止めてくれなくて、荒っぽくて、激しかった…」
「すまない。埋め合わせ、させてくれ。頼む」
「ああぅぅぅ、す、凄い、熱い、むぅぅん入ってくるぅっ…」
ついに灼熱の円柱が根元まで差し込まれた。憎たらしいほどゆっくりしたペースで権田が腰を前後させる。権田は、長い肉竿全体で里穂に奉仕した。最奥近くまで到達したかとおもうと、ゆっくりと後退し、ほとんど先端だけを残して外へ出てしまう。里穂のヴァギナは別れを拒むように必死でペニスに食らいついている。里穂の両脚は権田の腰に巻きつき、必死でしがみつく。
「ああ、イヤ、イヤよ。抜かないで、お願い…」
潤んだ瞳で哀願する里穂の姿は、このうえなくいじらしく、艶めいていた。
権田は、褒美を与えるように再びペニスを押し込んでいった。激しいピストン運動など、今の里穂には不要だ。瘤つきの亀頭が肉襞をめくり返しながらゆっくりと往復するだけで、気絶しそうなほどの悦楽に溺れることができた。何度も、何度も、気が遠くなるほどの回数のアクメを味わった。
「最後は、奥で終わりたいんだ。いいだろ?」
里穂は、コックリと頷く。無理やり膣内射精をされることは予想されていたので、避妊薬は服用していた。だが、そんなこととは無関係に、里穂はただ目の前の男の放つ精を浴びたかった。生暖かい粘液で、満たされたかったのだ。
権田は、里穂の両脚を左右の両肩に乗せた。屈曲位の姿勢で、上から亀頭を押し付けるように子宮口を圧迫する。
「あああああんっっっ、ふ、深すぎる、もう、ダメぇ、イッちゃう、ねぇ、一緒に、ねぇ!」
「ああ、出すぞ、里穂、里穂!」
二人は、恋人のように互いの両手と性器を握りしめながら、長い長い痙攣とともに、果てた…。
思いがけず、情愛に充ちたセックスが終わった。里穂は、権田の胸にぐったりと身体を預けている。権田が、里穂の頭を撫でながら、口を開いた。
「なぁ、里穂。ここに、戻ってこないか?」
「…」
「お前に、俺の子供を産んでほしいんだ」
「えっ…」
「一応三親等っていう関係だから、入籍はできないけどな。俺の妻として、この屋敷に住んで欲しいんだ。受け入れてくれるなら、もう、他の男たちにお前を抱かせたりはしない。純平のこともしっかり面倒みるぞ」
「そんなこと…とても無理です。純平がどう思うか…」
「…残念だな。だが、よく考えてみてくれよ。気が変わったら、いつでも言ってくれ」
快楽に溺れて、一瞬我を忘れていたが、この男は金のために自分に苛烈な売春を強いるような男だ。少し冷静な頭で考えれば、権田の優しさなど、信じるに値しないと分かりきっているではないか。現に、権田は翌週以降も、里穂の身体を会員に差し出し続けるのだ。口では大切にするなどと言いながら、卑劣漢であることには変わりがない。
だが、この夜以来、里穂は権田に少しずつ心を許すようになっていった。いや、そればかりか、平日に会員達に嬲られる間も、権田の優しい愛撫を心に想い浮かべながら耐え忍ぶようにさえなっていた…。