数分後。ちづるはソファの背もたれに後頭部を預けるような姿勢を取らされていた。ソファの上に仁王立ちとたった五条の男根が人妻の口腔を埋めていた。
(うううっ、苦しい……)
牡の匂いのきついペニスに加え、うっそうと茂った硬い陰毛が、鼻腔を苛む。鼻から息を吸いこむのがためらわれるが、肉棒を咥えこまされていては、口での呼吸もままならない。
ソファの下では、胡坐をかいた姿勢の有田が、ひどく下品に唾液の音を鳴らしながら、人妻の秘部に吸いついている。
「ちづる奥様ぁ、五条さんのジェントルマンシップに感謝したほうがいいですよ。僕のクン二でアヘアへしちゃってるところ、バッチリ写ってて、いいところだったのに!」
「惚れた女が、こんなに簡単に堕とされちまうのは、見てられなかったのさ」
野太い指で頭頂部をがっしりと押さえつけたうえで、硬直したペニスによって口腔内を搔きまわしてくる。切っ先をランダムに突き立てて、左右の頬の裏のタッチを堪能している男の顔を、ちづるはキッと睨みつけた。
不服従の態度を見てとると、五条はすぐさま報復で応じた。尖端で二度、三度突くと、圧力をかけながら喉奥にグリグリと押しつける。
「ぐふっ、むぐぅぅぅ」
首を振り乱そうにも、毛深く、でっぷりと太った腿で顔を挟みこむようにされると、逃げ場がない。吐き気で、目に涙が浮かぶ。
「そんな色っぽい泣き顔見せるもんじゃないぜ。つい、虐めたくなっちまうじゃねえか」「五条さん、ちょっとは手加減してくださいよぉ。奥様、さっきまで僕の舌であんなに反応してくれてたのに、五条さんのイラマのせいで、呼吸困難になっちゃったみたいで。クンニどころじゃなくなっちゃったじゃないですか」
「はははっ、すまんすまん。さて、こんなふうに俺のケツばかりがカメラに写っているのもいい加減具合が悪いな」
ちづるの額に手を置いて、五条が腰を引き、ソファから床に降りた。むせ込みながら、どうにか呼吸を整えるちづるの手首はいまだネクタイによる拘束が解かれていない。その端を掴みあげて、五条が威圧的に言う。
「おら、立て。代われ」
ズタズタに割かれたパンティストッキングから飛び出た臀部の上に、ピシャリと二度ほど平手が見舞われた。ソファのうえにドカッと腰を下ろした五条が、ちづるの尻肉を揉みこみながらいう。
「さて、こんどは下の口で咥えてもらう。俺の魔羅でよがり狂うところは、真正面からバッチリ撮影させてもらうぞ」
五条に命じられた有田が、タブレットのカメラの位置を調整した。自らの姿が画面に大写しになるのを見て、ちづるは思わず悲嘆のため息をこぼした。
「ああ、そんな……」
ニットセーターの胸元は丸く繰りぬかれ、そこから両感たっぷりの熟れた乳房が飛び出している。
パンティはとっくに奪い取られ、ストッキングもわずかに両脚の一部にその面影が残されるのみだ。画面には、控え目に生えた恥毛もハッキリと映り込んでいた。
(こんないやらしい姿を、撮られている……)
デルタ地帯を冷酷なレンズから守ろうと、思わず片足を折り曲げ、片足立ちのような姿勢になってしまう。両手首を拘束されたままの二本の腕で、乳房を庇う。羞恥に焼かれる令夫人の姿は、男の嗜虐心を煽り立てた。
「隠すんじゃねえょ、おらっ!」
「ああっ、そんなっ!」
五条の裸の足が、ちづるの股の間に潜り込んできた。グイ、グイと押しひらかれ、瞬く間に肩幅くらいで直立させられる。そうして、手首を縛ったネクタイの先を後ろから引き寄せられ、両手を頭の後ろに置くポーズを取らされた。
無防備な裸身を、前方からはカメラに狙われ、後ろからは肉茎に脅かされている。生きた心地もない。
「ほら、そのまま、ケツを下ろしてこい。生のチンポで、よがり狂わせてやるから」
「……」
ちづるは、じっと動かなかった。苛立った五条が舌打ちをし、尻をビンタしてもなお、議員夫人は直立したままの姿勢を保っていった。
「……避妊、してもらわないと、困ります」
一瞬の沈黙の後、二人の男は噴き出した。
「はははっ、そんな注文が通ると思ったか?フィニッシュは別としても、有田には生で嵌めさせたんだろ?この俺にキャップをはめようとするとは、いい度胸をしているぜ」
「そのままでは、しません!ちゃんと、ゴムを、使ってください……」
ちづるは頑なだったが、五条はその抵抗をも玩弄の対象にした。
「俺はゴムなんぞ、持ち歩かないんだよ。そんなにゴム付きセックスが好きなら、ほら、そこのコンビニまで、お前が自分で買いにいけよ。極薄のやつで頼むぜ」
五条は財布から千円札を取り出すと、乱暴に床に投げ捨てた。股間や乳房をむき出しにしたまま、外に出られるわけがない。それが分かったうえで難詰するのは、サド心を大いにくすぐる攻め手だ。
ちづるは、深くため息をついて、天を仰いだ。どうしても、人工物の隔たりも無く、この男を受け入れなくてはならないのか……
「最後までは、絶対に嫌です。な、中で出すのは、それだけは許しませんからっ」
かつてのアイドルキャスター、藤白ちづるが、眉を八の字に歪めながら必死で抗する姿はまさに凄艶だった。
五条は、上機嫌で言う。
「まあ、お前がほんとに嫌なら、出す直前で抜いて、逃げればいい。俺は紳士だから、止めはしないよ。有田みたいな下衆とは違ってな。だが、お前がオマンコで楽しみすぎて、グズグズして間に合わなかったってんなら、そりゃ自己責任な。くくくっ」
「卑怯なことは、しないで。絶対によ」
前夜の有田の行為が、頭から離れない。是が非でも膣内で思いを遂げようと、ちづるの肩や腕に食い込んだ、指の握力が、まざまざと蘇ってくる。
それに……五条の体重は有田の二倍とは言わないまでも、相当に重いはずだ。巨漢に組み敷かれたら、今度こそ逃げきれないだろう。
五条が取引を持ち掛けてきた。
「体位はこのまま、後ろからハメハメすればいいさ。そうすれば、お前も、抜きたいときにスッと抜けられるはずだろ?」
(油断してはダメ。よく、注意しなくては。危なくなる少し前に、立ち上がって、逃げるのよ……)
人妻が膣奥の操を、どうにか守ろうとしている。だがその意思が強ければ強いほど、それを砕きたくなるのが、牡の性だろう。五条の肉茎がビクンと跳ねるのがタブレットの画面の端に見えて、ちづるの不安を煽った。
七
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