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凌辱

翌朝、弥穂は始業時間になってもなお、布団を頭から被って身体を丸くしていた。まもなく、坂上や小峰から電話やショートメールが滝のように浴びせられたが、全て無視していた。いっそ電源を切ってしまおうかと何度も悩んだが、その間に零士から電話があるかも...
凌辱

抑えがたい波動がついに弥穂を天空に連れ去ろうというその刹那、控室のドアが開いた。「えっ、えぇぇぇぇっ、なにやってるんですか、ほ、園川さん、ですよねえ⁉マジっすか……」 入ってきたのは、小峰と同期の石黒という男性スタッフだった。「い、いやぁぁ...
凌辱

その日、弥穂はもう一日中うわの空で過ごした。午後は、客足も伸びず、弥穂に割り当てられた客はたった一名だった。空いている時間は、休憩時間を店の控室で過ごすのが通例だが、同僚に話しかけられるのがたまらなく億劫だった。(もう、今日は早く上がらせて...
凌辱

せっかく馴染んできた職場だったが、鷹藤の闖入により、弥穂は完全に浮いた存在となってしまった。何せ、新入りだというのに、毎日毎日、切れ目なく弥穂を指名する客が絶えないのだ。そのすべてが鷹藤からの「紹介客」ということになっているのだが、いずれも...
凌辱

即時採用が決まった弥穂だったが、ポジションはほとんど見習い同然で、月収は二十万にも満たない。足元を見られたのだろう。だが、贅沢は言っている場合ではない。小規模な美容室はどこもほとんど集客できておらず、『アズール』のような大型店に、客足は集中...
凌辱

夫を攫われ、借金取りに口唇奉仕を強いられたその夜、弥穂はサロンの床に突っ伏したまま、しばらく立ち上がることが出来なかった。愛する夫が、非人道的な労働現場へ送られ、しかも自らの肉体は好色鬼達に狙われている。ようやくショックが少し落ち着くと、今...
凌辱

店の前で呆然と立ち尽くす弥穂に、鷹藤が近づいてきた。「奥さん、せっかくだ、この風俗王から話だけでも聞いておかないか?」馴れ馴れしく、弥穂の肩を押して、店の中に押し込め、待合スペースのソファにどかっと腰かけてはふんぞりかえる鷹藤の姿を弥穂はキ...
凌辱

当面の資金繰りを確保したことで、安堵感は得られたが、依然として客足は鈍かった。客は一日に二人ほど。時には一人も現れない日もあった。そうこうしているうちに、政府から非常事態宣言が発出された。美容業界は、全面閉店が求められたわけではなかったが、...
凌辱

弥穂が夫と共に、横浜市にあるこの街に引っ越してきたのは、昨年の年末であった。夫の零士が生まれ育ったこの街で、夫婦は自分たちの美容室を開業することになっていた。弥穂が零士に出会ったのは、三年前。当時は、二人とも、表参道の有名サロンで勤務してい...
凌辱

プロローグ

「チンタラしてんと、早う、パンティ脱げや、早う!」「む、無茶を言わないでください、他のお客様もいるんです、それに主人も……」 白を基調とした明るいヘアサロンの店内。都会的な店の雰囲気にまるで似合わないそのてっぺん禿げの中年男性は、スタイリン...

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