「こら、ポーズはどうしたの。まだ終わってないわよ」
「うぅぅ、こ、これ以上は、イヤです、絶対に…」
「それじゃあ不公平じゃないの。まだ食べられてないスタッフもたくさんいるんだから」
私は、テーブルから飛び降りて、床に体育座りをしながら震えていた。恐る恐る、後ろを振り返ると、濁った眼でこちらをじっと見つめる男達の群れ。片手に野菜スティックを持ちながら、それを見せつけるようにこちらに突きつけてくる者までいる。
お尻を苛められるのは、もう耐えられない。大勢の前で、オナラするところまで聞かれて、見られた。一刻も早くここから逃げ出したい。それに…お尻の中をグリグリ引っ掻きまわされて、お腹がおかしくなってる。腸鳴りの音が今も響いているほどだ。もう一度あんな風にされたら、今度は…
「もう、止めさせてください、お願いですから、鈴原さん!」
「ふん、私に言われても困るわ。こいつらに直接言いなさいよ」
「I, I can’t stand with this, any more. Please, forgive me, please… 」
男達から、大ブーイングの嵐。苛立ってテーブルの脚を蹴りあげる者までいる。
誰からともなく、またお尻を突き出せと、督促するように、足踏みが始まった。
ドン、ドン、タン、ドン、ドン、タン
足踏みで二拍、三拍目はハンドクラップで。威嚇するようなリズムが私を追い詰めてくる。私は、頭を抱えてしまう。どうしてみんな、そんなに、そんなにも、私のお尻を玩具にしたいの、あんまりだわ…
「イヤイヤばっかりじゃあ、誰も納得しやしないわよ。代わりに何か差し出さないと。ほら、今朝飛行機で覚えたでしょう。求愛よ、求愛。そうしたらお尻は許してくれるかもしれないじゃない」
犯してくれと、こんなに大勢の男にお願いしろと?絶対にイヤ、という言葉が口を突いて出そうになる。でも、お尻は、お尻だけはもう本当にダメだ。
それに…どうせ、最後にはセックスさせられるに、決まってるじゃないか。さっきから、男達のペニスを見せつけられている。こんな風になった男性が、そのまま帰してくれるとは思えない。それなら、それなら…
「ほら、セリフは教えてあげるから。こんな風に言ってみな」
結局、私は、いいなり奴隷。どうせ、逃げ道なんてない。裸で十人以上の敵に包囲されているし、首には犬の首輪までされている。仕方ないんだ、抵抗なんて、できるわけない。諦めに頭が支配される。私は、指示されたセリフを、吐き零していった。
「May I ask you, to , to…, f, fuck me, and rape me…」
「はーい、一列に並んで。順番は、ウィルス騒ぎが始まってから出社した回数の多い順で文句ないわね」
私は、再びテーブルの上に乗せられた。男を迎え入れるようなポーズ。足を思いきり左右に広げて、両手で膝の裏を支えるポーズを取らされた。
「Hey girl, enjoy my dick!」
ものすごい勢いの鼻息を立てながら、訛りの強い英語で、一人目の男が迫ってきた。
「Stop, I suppose you need some “social distance”.」
挿入される直前に、鈴原の手が男の股間に伸びた。どうやら、コンドームを装着してくれたらしい。男が苦笑いしている。
「Ok, now I am ready. So are you?」
「あ、あの、やっぱり、ちょっと、あ、待って、そんな、あっ、ああああ!」
浅黒い肌の、野生動物みたいな男の様子に、直前で怖気づいてしまった。だけど、待ってくれるはずもなかった。私は、そのまま、刺し貫かれた。さっきから視線で犯され、いろんな刺激を与えられたせいで過敏になった私の身体は、泣きたくなるほどあっさりと男の侵入を許してしまった。
床に転がされた私に、熊のような風貌の、大柄な男が、正常位で重なってきた。大きく開いた私の両脚の、腿の部分を掴み上げ、自分の腰の動きに合わせてグイグイと引き寄せてくる。自分の快感以外には何も考えない、独りよがりな性行為。獣じみた鼻息が嫌悪感ばかりを掻き立ててくる。はずなのに…今日一日、絶え間なく異常な状況に置かれていたせいだろうか、身体が変になってしまっている。
荒っぽい抜き差しが、ほんの数分続いただけで、私は喘ぎ声を押さえられなくて、たまらず自分で自分の口元を押さえていた。
「ほんと、すぐ浮気しちゃうんだから。ほんと、かわいそ、添田君って」
「あぁ、言わないで、添田さんのことはっ!」
周りを取り囲む、現地社員達の異様な熱気で、むせ返りそうになる。交わされる言葉の意味は、全く分からない。だけど、悪意に満ちたニュアンスだけは、はっきり感じ取ることができる。
本社の日本人の、その恋人を犯してやる、ざまあみあがれ!
大勢に囲まれて、蔑まれて、欲情の対象にされて、乱暴に扱われる。私の人生は、きっとそういう運命なんだ。そんな風に自分のことを思うと、どうしてだろう。奥が、切なく疼いて、キュウって、収縮するのを感じる。すると…
慌てたように、男が急に腰の動きを加速させた。呪怨のような呻き声をあげながら、やがて男は身体を硬直させて、その数秒後に私の上に体重を預けてのしかかってきた。ああ、終わったんだ。やっと、一人目。あと、九人か…