カレとワタシのひどく不適切な愛情 > 第2章 狂気のハラスメント研修
[あらすじ]
私の名前は、摩耶。総合商社でOLをしている、二十五歳。 悪質なセクハラに悩んでいたけど、勇気を出して告発した。加害者の上司は、すぐに左遷された。それから私は、大好きな先輩社員と交際中。仕事も恋愛も全てが順調だった。
ある日、人事部から「女子社員向けに、セクハラに関する座談会を開くので、出席してほしい。新入社員研修の一環だから」と言われた。 泣き寝入りする女性がいなくなってほしい。そんな純粋な気持ちで、私は首を縦に振った。

…だけどそれは、巧妙に仕組まれた罠だった。 その先に、自分の恋愛観までも破壊してしまう、淫らな運命が待ち受けているなんて……

2026.01.19 永井 亮
女性一人称、ラブストーリー
読者タグ: なし

私は、壇上に立たされた。男性社員の達は、『コ』の字の長机から離れて、教壇の真下に座り込み、私の胸元を食い入るように下から覗きこんでくる。
「さあ、みんなの前で君が本物の巨乳であることを、証明して見せろ」
 笹山の手で肘の辺りを乱暴に掴まれて、両腕を頭の後ろの方に持っていかれた。ブラのホックが外れているせいで乳房がプルンと弾むのが、自分でも分かる。おまけに、さっきから会場の異様な熱気と、自分の身体を焦がしてくる羞恥心や焦りのせいで、ライトグレイのカットソーの汗染みがさらに大きく広がっていた。二つの恥ずかしい身体の部位を曝け出された。
「あら。笠谷さん、ずいぶん汗が出てるわね。ところで匂いの方は、大丈夫なのかしら?」
「おお、これはビジネスマナーとしては、大事なポイントだな!最近はスメハラなんてことも言われてるからなぁ。どれ、確認、確認」
 笹山の鼻先が、私の腋の下に潜りこんできた。熱気を帯びた空気が、音を立てて吸いこまれるのを感じた。
「うーん、まあ、俺は嫌いな匂いじゃないが。人それぞれ、好みもあるから、ちょっと苦手な奴もいるかもなぁ」
「ひどい、そんな言い方……」
 憎らしかった。この男は、これまで何度も、私が少し汗かきなのを揶揄ってきた。いつも、ちょうどいまこうしているように、気持ち悪いやり方で、腋の下に鼻を近づけながら。そのたび、私の身体の匂いが好きだ、いつまでも嗅いでいたい、なんて歯の浮くようなことを言っていたのに……
 あまりに腹が立って、笹山の手を振り払おうともがいた。すぐに、鈴原主任が脅し文句を吹き込んできた。
「協力しないなら、この男の子達に匂いの確認、してもらおっか?それでもいいよ?」
「うう、それは、イヤですっ……」
「だったらみんなに謝れば?」
 私は、言われるがまま、自分を貶める言葉を吐き出していた。
「あ、汗っかきで、ごめんなさい。イヤな、匂いがしてたら、ごめんなさい……だからあんまり、近づかないで……」

 笹山の左右の手でピンと張り詰めた巻き尺のナイロンテープが目に入ると、嫌悪感から、両手で胸を隠した。
「ほら、計測するぞ」
「ああ……、無理です、そんな……」
 私は両手を前に突き出して、距離を取ろうとする。でも、腋の汗で恥をかかされたせいか、反抗する気力が萎えて力が入らない。後ずさりする私の背後に回った鈴原主任が悪魔のように囁いてくる。
「このオヤジにされるのがイヤなら、私が代わりに計ってあげてもいいけど?その代わり、さっさと両手頭の後ろに組みなよ?」
 言うとおりにするしかない。公開の場で、笹山に触れられるのは、絶対嫌だったから。

「まずは、アンダーの測定でーす」
 茶化すような、煽るような掛け声とともに、メジャーを手にした鈴原主任が私のカットソーの中に手を突っ込んできた。ホックが外れて、ズレ上がってしまったブラの下に、ナイロンテープが滑り込んでくる。
「えっ、ちょ、ちょっと!」
「ん?どうせ計るなら、正確な方がいいでしょ?素肌に、直で」
 ナイロンテープが、乳房のすぐ下の部分を回って、 するりと私の胴体を囲んだ。その感触が、異様なほどひんやりとしていて、私を驚かした。
鈴原主任が、背後に回り込んできた。一周回ったテープを器用に重ね合わせながら、片手で私のカットソーをまくりあげた。身体の前側の生地もずり上がって、お腹や乳房の下の方まで露出してしまった。ホックが外れてしまっているせいで、ブラが上方向にズレてしまっているのが分かる。
下から見上げる男子社員たちの、熱を帯びたまなざし。そして、囃し立てる声。
「見ろよ、下乳見えてるじゃん!」
手で隠したくなる。でも、
「手は頭の上っ!」
 って鈴原主任に叱責されるから、それもできない。
「はーいアンダー七十七・五センチでしたー。さて、トップは何センチでしょうねぇ。ふふふ」
「あっ、ああっんっ!」
 次の瞬間。テープの冷感が乳首を掠めた。背筋が、ビクンと跳ねた。
「ちょっとぉ、動いたらちゃんと計れないでしょうが」
 カットソーの下で、計測テープがワザとらしく上下に動く。意志に反して固くなってしまった乳首が、固いナイロンの感触で弄ばれる。
「う、むうぅぅぅぅっ……」
 声が出そうになる。手で口を抑えたくても、出来ないから、奥歯を噛みしめる。顎に力が入って、そのせいで顔が真っ赤になるのを感じる。
 凝り固まった乳首を、テープが上向きに巻き込んで、乳房に食い込む。鈴原主任の手で、グイ、グイっと引きしぼられたそれが、ずり上がったブラの下で、私を苛める。
「これくらいきつくしとかないと。平常時のサイズと、誤差が出ちゃうからね、うふふ」
 鈴原主任の意味深な発言に、男子達は色めき立った。
「えっ、どういうことっすか、それ?」
「今、平常じゃないんですか?
「どうなってるんですか、中は?詳しく教えてくださいよ!」
「ん?さぁねぇ、どうなってるのかしら、笠谷さん?」 
ニヤニヤしながら、鈴原主任が話を振ってくる。その間も、手は小刻みに上下に振動を送ってくるので、ナイロンテープの下の乳首は相変わらず上を向いたり、下を向いたりで翻弄され続けている。
「ああ、もう、やめて、いい加減にして……こんなこと、続けられたら……」
「どうなるんだい、続けられたら?ん?摩耶君。そんな思わせぶりな態度はマナー違反だぞ。ほら、みんなに分かるように言うんだ」
 笹山が難癖をつけてきた。さらに、言わないと、ずーっとこのままよ。鈴原主任にもそう吹き込まれて、つい口走ってしまった。
「感じて、声が、出てしまうから……」
 男子社員から感嘆の声が聞こえる。自分の股間をイヤらしく押さえている者まで視界の端に見える。恥ずかしさが極まって、涙が視界を滲ませた。

「はーい、みんなでよーく確認して。笠谷さんのバストトップのサイズ」
 研修室の壁に向き合う姿勢、背中を男子社員達に向ける姿勢を取らされた。カットソーはめくり上げられて、ブラホックも外された剥き出しの背骨。その真上の位置で、メジャーのテープが重なる。男子生徒達が、一人一人、鼻先が触れそうになるほど顔を近づけてそれを凝視する。荒くて生暖かい呼吸が背中の素肌をくすぐるので、身震いしてしまう。
 ああ、もう、早く、早く終わって……

「はい、みんな、確認したわね。笠谷さんのバストトップは九十八センチだから、アンダーとの差は二十・五センチかぁ。ギリギリEカップに収まるかどうかくらい?もう実質、Fカップでもいいくらいかもね」
「良かったじゃないか、摩耶君。これで、君の偽乳疑惑は晴れたわけだ。おめでとう」
「……ひどすぎます、こんなこと。もう、もうこれで終わりにしてください」
「そんなに怒らなくったっていいじゃない。ま、もう時間も遅いし、今日はこれくらいにしましょうか。じゃあ、笹山か、あ、違った、兼頭先生、今日のまとめをお願いします」
 鈴原主任に話を振られた笹山が、最悪な言葉で、私を貶めながら、この会を締めた。
「いいか諸君。会社にはいろんな女性がいるからな。この摩耶君のように、性に対してオープンというか、無理の効く女性ばかりじゃないから、その点はき違えないように。ガハハハッ」
 怒りが込み上げてくる。こんな目に合わしておいて、よくも……
でも、口を開いて何か抗議すれば、報復を受けるだろう。研修が散会したところで、致命的な弱みを握られていることには変わりないんだ。とにかく、この場を終わらせたかった。たくさんの男子の粘っこい視線を浴び続けて、ずっと身体に力が入っていたせいか、クタクタだった。
「最後に、何か今日の研修内容に関して、質問のある人は?いたら、挙手してください」
 鈴原主任が事務的に言うと、視界の端に、色白で、線の細い男子が、スーッと手を上げるのが見えた。ああ、なんなのよ。まだ、終わらせてくれないの……
 次の瞬間に、耳に入ってきた言葉。それは、あまりに唐突過ぎて、数秒間意味が呑み込めなかった。
「もしも、会社で、女性が……オナニーしているのを目撃してしまったら、僕たち男は、どう振る舞えばいいですか?」

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