[あらすじ]
人妻で美容師の弥穂は、夫の零士とともに小さなヘアサロンを開業する。だが時を同じくして、新型ウィルスの伝染病が日本で猛威をふるっていた。

客足は遠のき、ついにはロックダウンで街はゴーストタウン状態に。
ウイルスの全世界的な拡大を前に、夫婦の蓄えはみるみる枯渇していく。
友人で、地元の信用金庫に勤める下村にだまされ、零士は筋の悪い金を掴まされる。やがてヤクザまがいの借金取りが現れ、零士は強引に危険なウイルスの"除染現場”へと連行されてしまった。

最愛の夫と引き裂かれた弥穂。零士が過労によって倒れたことで、「返済の代わりに」と、弥穂は借金取りたちによって身体を弄ばれ、犯されてしまった……。

縋るような思いで下村に助けを求める弥穂。だが、卑劣漢の本性を現したその男の手で、決して引き返せない、性の奈落へと引きずりこまれていった…… 。

2026.01.23 永井 亮
凌辱、NTR
読者タグ: なし

抑えがたい波動がついに弥穂を天空に連れ去ろうというその刹那、控室のドアが開いた。
「えっ、えぇぇぇぇっ、なにやってるんですか、ほ、園川さん、ですよねえ⁉マジっすか……」
 入ってきたのは、小峰と同期の石黒という男性スタッフだった。
「い、いやぁぁぁぁぁ!み、見ないで、出て行ってください!」
 弥穂は、卑猥なポーズを解き、床に尻もちをついては、両手両足で何とかして胸と股間を覆った。石黒は、カッと目を見開いて、弥穂の背中や尻を凝視している。まるで手足を透視してその先にある乳首や下腹部を見通そうというほどのその視線のビームの激しさに、弥穂は泣き出しそうになる。
「やれやれ、せっかくいいところだったのに、邪魔が入ったわ。石黒君、ノックぐらいしなさいよね」
「す、すみません。で、でもこれって一体……」
「ふふふ、園川さん、ってさぁ、いま旦那さんと別居中で、すんごいムラムラしてるんだって。それでね、指名のお客さんに手を出して、色々イヤらしいことしちゃったみたいなの。それで、先輩として、説教したんだけどねぇ」
「ち、違う、そんなこ……」
「そうなのよ石黒君!そしたら園川さん、何て言ったと思うぅ?お客さんに手を出すのはやめてやるから、その代わり今ここで気持ちよくしてくれ、って言ってきたんだよぉ?信じられないでしょ!」
「で、デタラメを言わないで!い、石黒君、違うの、私はこの二人に、無理や……」
言い終わる前に、どこかから軽妙なスマホの通知音がなった。
「石黒君、どっちの言うことが信じられるか、これ見て判断してよね」
 石黒は、ジーンズからスマホを取り出すと、坂上から送られたメッセージに添付されている動画に、目を白黒させた。
「こ、これ、園川さん、っすか……」
「もう、や、やめてぇぇぇぇ!」
 決定的な弱みを、異性の同僚にまで簡単に共有されて、弥穂は悲鳴をあげた。
坂上が、弥穂にだけ聞こえるような小声で囁く。
「あなたは、淫乱マゾって設定なの。いいわね?」
弥穂は坂上のやり口のあくどさに、うな垂れてしまう。その間、石黒の背中を押しながら、小峰が煽り立て始めるではないか。
「ほら、こんなおじいちゃんのおチンチンにまで手を出すほどなんだよ。人助けだと思ってさぁ、石黒くぅん、人肌脱いであげてよぉ。ここで鉢合わせたのも何かの縁でしょ。据え膳食わず、ってやつじゃない、ここで尻ごみしちゃったらさ」
言いながら、小峰は石黒のベルトを解き始めた。何が起こっているのか、事の推移についていけていない弥穂に、坂上が残酷にも告げる。
「園川さん、良かったわねぇ、ちょうどいいところに若い男の子が来てくれて。ほら、おチンチン頂戴って言いな」
「えっ……」
「石黒君、園川さん、もうすっかり準備オッケーだから、前戯も要らないわ。グサッって挿入れちゃってよ」
「い、イヤよ、絶対に、そんなこと、イヤぁぁぁ!」
 サド女二人組が、自分とこの若い男性スタッフと肉の交わりを演じさせようとしている。そうはっきりと理解すると、弥穂は大声をあげて叫んだ。
(今すぐ、逃げないと)この身に迫る危険から逃れようと、脱がされた衣服を探す。ジーンズとニットセーターは坂上のブーツに踏みつけられている。それら衣服に手を伸ばすが、坂上の手に先を越される。
「はい、これ、パスっ!」
衣服と下着をガサっと掴むと、坂上がそれらを石黒の方へと放り投げてしまった。(ああ、そんな……)衣服を回収したいが、そのためには一糸纏わぬ全裸のまま、石黒の元へ駆け寄らなくてはならない。恥じらいがちな弥穂には、とてもそんなことはできず、がっくりとうな垂れた。
「あなたさぁ、さっきまでの乱れっぷりはどうしたのよ?急にぶりっ子しちゃってさ」
「ねぇねぇ、香苗ねぇさん、私たちで手伝ってあげましょうよ」
 つい先ほどまで石黒に悪魔の囁きを吹き込んでいた小峰が、再び弥穂に襲い掛かってきた。両手と両脚でなんとか秘めたる部分を覆っている弥穂の肩を乱暴に掴んで表を向かせる。さらに、左右の手足に、坂上と小峰の手が伸びる。手首を床に押し付けられ、さらにはもう一方の手で膝裏を掴まれ、M字型に割開かれる。解剖に処される蛙のような惨めなポーズで、大事な部分が全て、石黒の視線に晒されることになった。
「ふふふ、これでよしっと。おチンチンおねだりポーズのカンセーっ!」
「やめて、もう、放して!」
「石黒君、早くしなさいよ。あなただって、もう準備OKでしょう?グズグズしないで」
坂上が、後輩の男子社員を急かす。石黒のジーンズの股間部分は、もう痛々しいほどにテントを張っているのが、傍目にも明らかだ。
身体を捩じって女子二人による拘束を振り払おうとするが、上手くいかず、そのうち、石黒がついにジーンズのファスナーを下ろし、ボクサーブリーフごと脱ぎ棄てる様が視界に入ってきた。石黒が、屹立を弾ませながら、にじり寄ってくるのを見て、弥穂は震え上がった。
「い、石黒君、落ち着いて!正気に、戻って!」
「で、でも、園川さんだって、ほ、欲しいんでしょ……」
充血しきった目つきで、女の秘部を穴が開くほど見つめるその男は、弥穂の知る石黒とはまるで違っていた。

***
石黒は、二週間前に弥穂が『アズール』で働き始めてからずっと、弥穂のトレーナー役を任されていた。(美容師二年目の石黒よりも、弥穂の方が経験も技術もよほど上だったが、そうはいってもこの店の細かい決まりごとなどは教えてもらわないと分からない。)
誠実に、低姿勢で指導を受ける弥穂の姿に、石黒は好感を持っていた。いや、好感などという表現では十分ではないだろう。石黒が弥穂を異性として意識してしまっているのは、周囲からも明らかだった。坂上から弥穂が既婚者であることを知らされた日、あからさまに落胆した石黒の様子は、店のスタッフの中でも恰好のゴシップだった。(弥穂は、仕事中は指輪を外しているので、石黒は初め弥穂が若くして結婚していることを知らなかったのだ)
この夜、石黒が店に戻ってきたのは、偶然ではなかった。小峰と坂上は、弥穂に恋心を寄せている石黒を巻き込んで、本番の白黒ショーを鑑賞するということを思いつくやいなや、すぐさま同期の小峰が

園川さんの秘密、石黒くんだけに教えてあげるから、今すぐ店に戻ってきて!

というメッセージを送っていたのだ。そうして、ものの十五分としないうちに、石黒が飛んできた、というわけだ。
***

 石黒が、いよいよ腰を落とし、ぎこちなさげに切先を秘裂に向ける段階になってもなお、弥穂は必死の嘆願を続けていた。
「イケないわ、石黒くん、こんなこと、絶対に、許されないの……わたし、結婚しているのよ……」
「で、でも、お、男の客と、変なことまでしてるんでしょ、お、俺の気持ちも知らないで……」
 ペニスの猛りだけははっきりと雄の意志を示しているものの、恋した女から涙交じりに許しを請われ、石黒は揺れていた。
「君ってさぁ、ほんとトロいよねぇ。もういいわ。別の誰かに声かけるから、ズボン履いてさっさと帰りなよ」
「そ、それは……・」
「ほら、あんたの同期の男の子たちに片っ端から電話するわよ、いいの?」
坂上に退路を断たれ、石黒は理性を放り出してしまった。
「い、イヤだよ……そんな。そんなことになるくらいなら、俺が、俺が犯ってやる!う、うわぉぉぉ!」
「だ、ダメぇぇぇぇっ!」
 若い男女の怒号と悲鳴が、狭い控室内に木霊する。石黒の亀頭が、弥穂のクレバスに添えられた。両手両脚を押さえつけられながらも、弥穂は必死で腰を捩じったし、そもそも弥穂の秘口は人妻とは思えないほど造りが小さい。挿入に四苦八苦している石黒に、坂上と小峰が嘲笑を投げかける。
「あなた、もしかして童貞なの?ほんとに世話が焼けるわ。ねぇ、玲奈、ちょっと手かしてあげましょう」
若妻の膝裏を掴んでいた坂上と小峰の手が、ラヴィアに添えられると、左右それぞれの方向へグィっと引っ張られた。無理やり開かされた女の入り口から、亀頭部分がじわりと滑り込んでくる。
「わぁ、入っちゃったぁ♪わたしぃ、人のセックス生で見るの初めてだからぁ、チョー興奮してきちゃう!」
小峰が囃し立てる声も、どこか遠くに聞こえる。それよりも、自分の肉が男を少しずつ呑み込んでいく感触が、生々しく感じられ、弥穂の涕泣は一層高鳴る。やめて、こんなのダメよ、と何十回と叫んでも、一度挿入を始めた雄を、思いとどまらせることなど、出来るはずがなかった。
「く、くぅぅぅ、なんてキツイんだ……」
強烈な肉の収縮に、石黒は身震いしながらも、それでも少しずつ肉の隘路を切り拓いていく。進めば進むほど、襞の絡まりは複雑さを増す。既に奪われた貞操をそれでもなんとか守ろうと必死の懇願を続ける若妻だったが、あろうことか、その肉の内部だけが、人格の統制を離れて粘膜の交合を始めているではないか。この世のものとは思えない淫靡な落差に、石黒は完全に痺れ切っていた。
「ねぇ、石黒くぅん、そんなにいいのぉ?」
「呆れた。もうイキそうな顔しちゃってる」
「えぇぇぇ、まだダメだよぉ?もっとたっぷり見せてよぉ。よし、こうしちゃおっと」
小峰が石黒のTシャツの中に手を入れると、その乳首を固く抓り上げる。坂上も、それに続く。膣襞が茎胴に与える甘やかな摩擦に、全神経が集中していたところ、鋭い痛みが乳首にもたらされ、それがノイズとなって海綿体への血の流入を押しとどめた。
「ふふふ、わたしぃ、元カレが早漏だったんだけど、こうしてお仕置きしてやったら結構長持ちしたんだよねぇ、ははははは!」
 男の性というのは不思議なもので、挿入後に高まる切迫した射精欲求を乗り切ると、ある種の「安定フェーズ」に入ることがある。膣との甘美なコンタクトを存分に満喫しながらも、まだ射精に至るまでの距離を保てる。石黒は今、そんなゾーンに突入していた。こうなると、暴発を恐れず、ピストン運動を仕掛けることができる。
石黒は、人が変わったように、腰を振り立て始めた。先ほどまでの浅瀬にとどまっていたペニスは、もはや根元まで弥穂を貫き、縦横無尽に膣内を暴れる。
「そ、そんな、乱暴に、むぅぅぅん、しないでっ、ああ!」
 トン、トン、ドスン。軽いジャブと体重を乗せた重いストレートパンチを交互に、リズミカルに繰り出す。回を重ねるごとに、弥穂の吐息が、少しずつ艶を帯びてくる。それを見て自信を深めた石黒は、さらに膣奥深くを抉り始めた。弥穂は、もう言葉を紡ぐことも難しくなり、昂った淫泣を零しはじめる始末だった。
「やっと素直になったわね、このエロ人妻さん」
「ほんとそれ!ふふふ、イヤらしいヨガリ声だしちゃって。熱々でやけちゃうわぁ」
官能の蟻地獄へ足を取られつつある弥穂の様子を、サド女二人がうっとりとした様子で見降ろしている。女たちは、もっと刺激的なセックスを見せろと、騎乗位をリクエストした。結合したままで体位を変えようとする石黒だったが、どうにも上手くいかず、スポっと、ペニスが弥穂の中から飛び出てしまった。
(このままじゃ、ダメ。逃げないと……)
粉々に割れ砕けそうな理性を何とか繋ぎ止めるように、立ちあがる。坂上と小峰の手による拘束も今は解かれていた。一瞬の隙をついて、弥穂は駆け出した。

一心不乱で、広い店内を疾走したが、どこにも身を隠す場所など見当たらなかった。そんなことは、分かりきっていたが、それでもあのまま石黒に貫かれているわけにはいかなかった。
弥穂は、夫の零士以外の男と交わったことは、これまでの人生で一度もなかった。それに、零士はセックスの際、必ずゴムを着用していたのだ。初めての、生身の接触を夫以外の男に許してしまった。その罪悪感と喪失感から、弥穂の頬を一筋の涙が伝っていた。
だが、レイプの現場を逃げ出した理由は、それだけではなかった。石黒の猛り狂ったペニスの抜き差しで、熱く充血した膣の火照りが、昼間橋詰の手技で止めを刺された時のあの感覚に近づいてきていたのだ。夫の留守中に、見知らぬ男の指で初めての絶頂へ導かれ、おまけにまた別の男とのセックスでも気を遣ってしまう。そこまで堕ちてしまったら、もう自分は零士の妻ではいられない。弥穂を無謀な逃走に駆り立てたのは、そんな焦燥感だった。

気づけばもう店の入り口付近まで来ていた。(このまま、外に出れば……)弥穂は、逡巡した。何しろ、自らの肌を覆うべき衣服は一片も残っていない。おまけに、荷物もなにも持っていない。自転車で約十五分ほどの離れたところにある自宅マンションまで、裸足で走り抜けたとしても、中に入る鍵すら持ち合わせていないのだ。近隣の住民に全裸を晒すことになってしまったら……
(じゃあ、交番は……?)
 駅の反対側に交番があった。同僚2名に、リンチされ、男性にはレイプされようとしている、警察に駆け込んで、そう訴えるか?だが、非常事態宣言下で、街の治安は逆に悪化していると聞く。交番へたどりつくまでに、深夜に徘徊しているならず者に、鉢合わせたら、無事で済まないだろう……。 入り口の扉を掴んだまま、弥穂は身を固くして立ち尽くしていた。
「みーっつけ!」
 後ろから、小峰のおどけたような声が聞こえてきたその刹那、男の二本の手で肩を鷲掴みにされた。
「なんだよ、弥穂さん、立ちバックが良かったのかい?それならそうと言ってくれよな」
もはや別人のように横柄な態度で、石黒は、強引に後ろから切先を突き立ててきた。
「ああ、もう許して!入れないで……」
弥穂の初々しい秘口はこの短時間でも慎まし気に閉じあわさっている。ミシ、ミシと音を音を立てるように、石黒が再び中に侵入してきた。先刻の初挿入時には四苦八苦していた石黒だったが、もはや、その腰つきには躊躇いは微塵も感じられない。こじ開けるように突き立てられた肉柱の衝撃に、弥穂は甲高い悲鳴をあげる。再開された杭打ちに、弥穂の媚肉は打ち震えた。
「う、ぅぅ、そんなに激し、くっ、し、しないでっ!」
「ほら、外から誰かが覗きに来るかもしれないよ?」
石黒は脅すように囁き、背面立位で繋がったまま、弥穂を再び店の奥へと追い立てていく。体内に深く埋め込まれたペニスで突かれながら、トボトボとふらついた足取りで歩まされる。ふと顔をあげると、鏡に映る自分の浅ましい姿が目に入ってくる。(ああ、なんてイヤらしいの……)
「ねぇねえ、園川さぁん、そのままこっち向いてよ」
 呼ぶ声の方に視線を向けると、そこには小峰のスマホのカメラがこちらを狙っていた。
「やめて!撮らないで、お願い」
カメラに痴態を収められるのをなんとか防ごうとして右手を繰り出すが、敢え無く石黒に取り押さえられる。石黒は、あろうことか掴んだ腕をそのまま手綱のように引き上げたので、弥穂の上体は仰け反るように立ちあがり、豊満な乳房が、上下にブルん、ブルんと揺らされる。
「すんごいわねぇ、巨乳が大暴れじゃない」
「お顔ももうすっかり蕩けちゃって。熱々カップルって感じだねっ!」
「ふ、ふざけないで!こんなに、ひどいことをさせておいて……私、絶対許さないから、あなたたちのこと!」
「あれれ、石黒くん、なんかこの女、怒ってるわよ。早くあなたのおチンチンで機嫌治してあげなさいよ」
「そうだよ、このままだと、石黒くんがレイプしたことになっちゃうよぉ?ほらほら、もっとハッスル、ハッスルぅ!」
煽られた石黒は、杭打ちのピッチを上げた。抜き差しはより小刻みに膣壁を好き放題に擦りあげた。かと思うと、ヌ~ッとペニスを引き抜き、焦らしたあげくに最深部に重いストロークを加えたりと責めのバリエーションも豊富だった。多彩な突き上げの前に、やがて、弥穂の悲鳴は涕泣に、そしてついには嬌声へと変わっていく。
(負けちゃ、ダメ、こんな人たちに……零士さんを、裏切りたくない……)
膣奥深くから巻き起こる甘い疼きと、無尽蔵に込み上げてくる熱い粘液はもう、押しとどめようもなかった。弥穂は敗北の予感に打ち震えながら、脳裏に夫の姿を思い浮かべてはなんとか自分を維持しようと藻掻いていた。
「ああ、ああ!クネクネ腰動かしてくれるから、すんごく気持ちいいよ、弥穂さん」
「ち、違う、そんなことは……」
「はぁ?違うっていうの?ちゃーんと証拠が残ってるんだからね、後でじっくり検証しましょう、ふふふ」
淫欲に負けまいと内面では葛藤しているつもりだったが、無意識のうちに腰がふしだらなダンスを演じてしまっていたというのか。弥穂は自分の肉体のコントロールを失いつつあることに、慄然とした。
「ほら、アヘアへ顔、バッチリ映っちゃってるからねぇ!」
「うぅぅ、と、撮らないで、お願いっ!」
 カメラの存在が、しかし弥穂の理性を辛うじて維持した。撮られていなければ、喜悦の波に押し流されていただろう。(これ以上は、ダメ。しっかりするのよ!)
だが、意識とは無関係に、蜜肉の内部は独りでに息づいてしまう。一層高まった肉の襞の乱舞は急激に石黒を高みへと導いた。俄かに、鼻息が荒くなり、込み上げる劣情を抑えるように苦し気な呻き声を上げ始めた。ふと、鏡に映った石黒の顔が目に入る。呆けたように口を半開きにし、眉間には苦痛に耐えるときのような深い皺が寄せられていた。
(まずいわ、石黒君、まさかこのまま……)
石黒のクライマックスが近いことは明らかだったが、一向に腰を引き抜く素振りもなく、銃口は深々と女の芯に突きつけられている。
「うぅ、うぅ、もう、限界だっ、このまま、だ、出すよ、弥穂さん、いくよ!」
「えっ……ま、待って、待ちなさい!このままなんて、ダメよ、絶対にダメ!」
 暴発寸前の銃口から逃れようと、後ろから羽交い絞めにした手を振り払い、弥穂は腰を振り乱して結合を解いた。そのクネクネした腰の動きが、石黒に止めを刺した。
「あああああ、弥穂さん、ま、待って、そんなぁ!うぅぅぅう」
 臨界点を突破した奔流は、もはや大脳の統制を離れて独りでに砲身を駆け抜け、放物線を描きながら弥穂の裸の尻や背中に吹きかけられた。石黒は棲みかを追われた悲哀を滲ませながら、それでも最後の官能を絞りとるように右手で自らの分身を扱きたてながら、総身を
ブルっ、ブルっという痙攣とさせている。

夜中の街を自転車で自宅へと帰る道すがらも、弥穂は嗚咽まじりのすすり泣きをこらえきれなかった。下着も纏わず、素肌に直接履いたジーンズの尻の辺りが、石黒の放った精液で湿り、その不快感が犯されたという事実を一瞬たりとも忘れさせてくれないのだ。
(どうして、私、こんな目に……)
 石黒が最後の精液を床にこぼすと、坂上と小峰から野次が飛んだ。
「あーあ、結局園川さんのアクメ見れずじまいかぁ」
「あなた、情けないわねぇ、私たちがほとんどイク寸前まで盛り上げておいてあげたのに」
「……も、もう一回、もう一回やろう、園川さん!俺んち、すぐ近くだからさ、今日は泊りに来なよ、ね?」
 レイプした女を自室に招こうという石黒の厚顔無恥に、弥穂はカッと頭に血が上り、気が付けば男の頬に強烈なビンタを浴びせていた。
「ゆ、許せない……こんなこと、絶対に」
弥穂は、立ちあがって衣服を拾いあげると、震える手つきでそれを纏い、店を飛び出した。
 坂上と小峰は、弥穂に思わぬ反撃を食らった石黒の様子を見て、腹を抱えて笑っていた。
 
 自宅につくなり、弥穂は浴室に直行した。膣内射精は免れたものの、もしものことがあってはならない。生理周期からすると、ギリギリ危険日に差し掛かる直前というところだが、それでも不安は募る。汚された花園を洗い清める必要がある。
熱いシャワーを直接秘部に押し当てると、敏感な女の肉が水圧のもたらす刺激のヒクついてしまう。甘い痺れが全身に広がる。惨めさと、無理やり開花させられつつある自らの官能に、弥穂は当惑した。
(もう、あの店には居られないわ……)
足早に店の扉を開けて出ていく際に、坂上から投げかけられた言葉が、弥穂の脳内に反響している。
「石黒君は気に入らなかったのねぇ。うちの店には他にも若い男の子いっぱいいるんだし、次は誰としたいか、考えておきなさい、ふふふふ」
(このままじゃ、私、他の男の人とも……)
坂上は、石黒一人では飽き足りず、他の男性スタッフまでを嗾けてくるつもりなのだ。鷹藤の一味だけではなく、同僚にまで身体を狙われている。弥穂は、もう二度と『アズール』に出勤することはない、帰り道にそう誓った。

Xでポスト

このエピソードの感想を書く

まだ感想はありません。