恥獄パンデミック 若妻美容師 弥穂の場合 > 第1章 新生活、最初の躓き
[あらすじ]
人妻で美容師の弥穂は、夫の零士とともに小さなヘアサロンを開業する。だが時を同じくして、新型ウィルスの伝染病が日本で猛威をふるっていた。

客足は遠のき、ついにはロックダウンで街はゴーストタウン状態に。
ウイルスの全世界的な拡大を前に、夫婦の蓄えはみるみる枯渇していく。
友人で、地元の信用金庫に勤める下村にだまされ、零士は筋の悪い金を掴まされる。やがてヤクザまがいの借金取りが現れ、零士は強引に危険なウイルスの"除染現場”へと連行されてしまった。

最愛の夫と引き裂かれた弥穂。零士が過労によって倒れたことで、「返済の代わりに」と、弥穂は借金取りたちによって身体を弄ばれ、犯されてしまった……。

縋るような思いで下村に助けを求める弥穂。だが、卑劣漢の本性を現したその男の手で、決して引き返せない、性の奈落へと引きずりこまれていった…… 。

2026.01.23 永井 亮
凌辱、NTR
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当面の資金繰りを確保したことで、安堵感は得られたが、依然として客足は鈍かった。客は一日に二人ほど。時には一人も現れない日もあった。そうこうしているうちに、政府から非常事態宣言が発出された。美容業界は、全面閉店が求められたわけではなかったが、代りに感染防止のガイドラインが発表された。室内の換気や、客と従業員との密集状態を避ける措置などが義務付けられ、それらを満たしていない場合には行政指導が入る。園川夫婦は、対応に追われたが、世間の外出自粛の風潮は高まり続け、せっかく施した感染対策も、ほとんど報われることがないまま、さらに二か月が過ぎた。
ロケットファイナンスから借りた二百万円は、日に日に利息を膨らませている、そのことは頭の片隅にあるが、夫婦はあえて話題にはしなかった。いや、出来なかった、というべきだろうか。返済の開始は借入開始から三か月後、ということになっている。「あと一か月あるから」と、見て見ぬふりをしていたのだ。
四月も暮れに差し掛かったある日、一人も客もないまま一日が終わろうとしていた夕方、『サロン・ド・レイ』を場違いな男二人組が訪れた。
「園川零士さん、ってのはあんたかぁ?」
 店に入るなり、一人が濁声で叫んだ。太いストライプの入ったダークスーツの下に、パープル色のシャツの首元を開けて着崩したその男は、四十代半ばくらいか。身長は百八十ほどの長身で、胸板はプロレスラーのように厚い。頭髪にはジェルを塗りたくってオールバックにしている。鋭い眼光の三白眼で、威圧的に零士を睨みつけるその様は、一見して堅気の者ではない。
 もう一人の男は、対照的に、小柄で線の細い青年だ。サラサラした金髪をなびかせ、ダボっとした黒のオーバーサイズのトレーナーに、シルエットの太いカーゴパンツ。派手な金色のネックレスをしている。雰囲気からして、中年男の子分格だろうか。
「そ、そうですが、あの、どういったご用件でしょうか?」
「俺はこういうもんだがなぁ、貸した金、返してもらいに来たんだよ」
 零士は中年の方の男が乱暴に突きつけてきた名刺に目を落とした。

 鷹藤企画 鷹藤伸蔵

「な、何かの間違いではないでしょうか?うちが借りているのは、Y信金と、それとロケットファイナンスだけですが……」
「やれやれ、めでたいお坊ちゃんだぜ、まったく。詳しく説明してやるから、ほれ」
そういうと、鷹藤は強引に夫婦の背中を押して、奥の事務スペースへと追いやった。
 事務スペースは狭く、通常なら二人入るのがやっとだ。事務机の前に夫婦を座らせ、鷹藤と子分格の男は夫婦を挟みながら、上から見下ろしている。

「これが、あんたらがロケットに渡した借用書。それからこっちが、俺らがロケットからそれを買い取った債権譲渡の証書だ。よく見て見ろ」
「ど、どういうことですか……」
「どういうことも何もそのまんまだが?お前らはロケットじゃなくて、俺らに金を返せばいい、それだけの話だ」
「……そ、そうですか。ですが、初回の返済は、来月のはずですが」
「ははは!本当に何にも考えずにヤバい金借りたんだな、あんた。ほら、ロケットとの契約書見てみろや。『補遺』の部分だよ」
言われるがまま、零士は三十頁ほどの契約書の最後のページをめくった。

・甲は、乙に対する債権を任意の第三者へと売却することができる
・その後の返済条件は、売却先の意向に従うものとする

極めてさりげなく添えられたその二文に、夫婦は蒼ざめた。

「分かったか?要するに、今日は返済期限についての俺らの意向を伝えに来たんだ。あんたらの経営状況の視察も兼ねてな。それにしてもひどい状況だよな。閑古鳥が鳴いてるじゃないか?前月の売上、全部でいくらだ?」
「……三万円くらいです」
「はははは!そりゃまずいな。典型的な貸倒懸念先じゃないか。俺らとしては、いち早く返済を要請するぞ」
「ちょっと、待ってください、少し時間をください」
零士は、デスクからロケットファイナンスの佐竹の番号に電話をかけた。だが、この番号は現在使われていません、という自動音声が、虚しく響いた。
「はは、あいつらも相当金に困ってたから、夜逃げしたか。あんたのところの債権も投げ売り同然だったしな」
「もう一軒、もう一軒だけ、待ってくれ」
零士は、今度は下村の携帯へ電話をかけた。だが、親友は、いくら待っても電話に応答することがなかった。思わず頭に血が上って、零士は手に持ったスマホを思いきり床に叩きつけた。
「やれやれ、末期症状だな。こいつはもうダメだ。やはりこんな奴に金を貸しているのは危険だぜ。とにかく一刻も早く回収しないとな。ほら、通帳持ってこい。あとレジの中の現金も」
「そ、そんな無茶苦茶な!なんの権利があってそんなことを」
「あぁ?話聞いてなかったのか、てめぇ。頭悪ぃんじゃないのか」
鷹藤は零士の頭を拳骨で小突いた。そこまで強くはなかったが、中指に収まったごつごつとした指輪が頭頂部に激しい痛みを与え、零士は頭を抱えて呻き声をあげた。
「乱暴はやめてください!」
思わず立ちあがった弥穂は、夫を庇って身体を投げ出すように、鷹藤と零士の間に割り込ませた。狭い事務室内でもみ合う中で、弥穂の豊かな乳房が、白いブラウス越しに鷹藤の胸板に触れた。ムニュというその弾力に、鷹藤はにんまりとし、いやらしい視線をネットリと若妻に絡ませた。男の好色顔に気付いて、弥穂は頬を赤らめ、気まずげに視線を床に落とす。
「へへ、いい女だな、あんた。この甲斐性なしの優男にはもったいないぜ、なあ、子安?」
「ほんとっすねぇ、ご主人も、感謝しないと。こんな色っぽい奥さんがいなかったら、破産するところっしょ?」
「あ、あの……どういう意味でしょう」
「ん?分かるだろう?覚悟さえ決めれば、手っ取り早く金を儲けるのは美女の特権だっていってるんだよ」
「だ、ダメだ!そんなことは、絶対に許さないぞ!」
零士は立ち上がって抗議した。新婚の妻を、男達は借金のかたに風俗店に売りさばこうとしているのだ。零士は完全に激昂していた。だが、次の瞬間、鷹藤が零士の後頭部を乱暴に掴み、そのまま事務机の上にグリグリと押し付けた。
「生意気言ってんじゃねぇぞ、このガキ!お前の頭が悪いから、こういうことになったんだろう!」
 さらに鷹藤は革靴で零士のスニーカーを思いきり、二度三度と踏みつけた。その度、零士は「ああ!」「いぃ!」と涙声で悲鳴をあげた。
「ああ、どうか、もうやめてください!主人に代わって、私が謝ります、どうかもうやめてください」
 弥穂は、跪き、鷹藤の右足を抱きかかえるようにして許しを請うた。その深い谷間の弾力を脚で楽しみ、鷹藤は険しい顔を崩した。
「くくく、奥さん、あんたのこと、気に入ったよ。デカパイ使って男の機嫌を取るなんざ、なかなかの高等テクニックだ。奥さんのために、返済プランを考えてやろうという気がしてきたよ」
足元で涙を流す弥穂の頭頂部を撫でさすりながら、尊大な態度で鷹藤が言う。
「奥さんよぉ、ここにいる子安って男はな、都内で風俗店を二十軒も経営している風俗王なんだよ。まだ二十五歳なんだけどよ、大物なんだぜ。あんたの旦那とは商才が違うわな。子安、奥さんにぴったりな店、紹介してやれよ」
「かしこまりました。そうですねぇ、最近は実店舗はどこも自粛自粛でキツイっすからねぇ。このお店なんかは、自宅へのデリバリー専門で、めちゃくちゃ売上伸ばしてるんすよぉ」
子安は、事務机に店の名刺を並べながら続ける
「表のウェブサイトでは書けないですけど、チャットとかで、いろいろオプションの交渉とかできるんですよ、あ、オプションってわかります?」
「な、何の話ですか……」
「つまり、追加料金で、ゴム無しの生中だしセックスとかもできるって話っすね」
「そ、そんなこと……」
顔面を蒼白にした弥穂を尻目に、子安は嬉々として続ける。
「あとは、このSMショーのお店かなぁ。ここも、店のステージとかじゃなくて、金持ちのホームパーティーとかに行って縛られたり、鞭打たれたりするんだけど、大丈夫だよね?その後金持ちに気に入られたらたんまりチップもらえるから、いいんじゃない?」
「もう、もうやめてくれ……妻に、そんなことを、させてたまるか……」
鷹藤に頭を押さえつけられながらも、零士が憤怒の声をあげる。
「なんだ、その言い草は?けっこうな時給で働ける場を奥さんに提供してやろうっていうんだよ。何が不満なんだ、ああ?」
「お願いだから、俺が、俺が何とかするから、妻にそんな酷いことをさせないでくれ、頼むから……」
「男のお前が美人の若奥さんと同じだけ稼ごうとしたら、そりゃあキツイ仕事しかないぞ?まあ、無い訳じゃないけどな。だが、お前にその覚悟があるのか?」
「やる、やるよ!だから、妻には手を出さないでくれ、お願いだ!」

 涙交じりに訴える零士に対して、鷹藤が提案したのは、新型肺炎ウィルスの発生場所での除染作業や、病院施設のシーツなどの洗濯、汚物の処理などを引き受ける業者の仕事だった。違法な労働環境で酷使されているのだが、医療機関などもこうした闇の業者に頼らなければ回らないので、警察や行政も厳しく取り締まることができないのだという。仕事は過酷で感染のリスクも高いが、だからこそ人材難で時給は高騰しているという。
「現場は大体都内だし、急な出動もあるから、あんたには寮に入ってもらうことになる。奥さんとは、しばしお別れだが、少しだけの辛抱だ。なぁに、完済すれば戻ってこれるんだ。髪の毛いじってるだけのチャラチャラした仕事に比べりゃ百倍はキツイだろうな。必死こいて働いてこいや」
鷹藤の提案に、弥穂は激しく抗議した。
「そんな危険ところに、夫を行かせるわけにはいけません!何かもっと他に、私たちの経験を活かせるところがあるはずです!」
 食い下がる弥穂を、鷹藤はせせら笑いながら一蹴した。
「勘弁してくれよ、奥さん。あんたがそのデカパイ使って稼げば話は早いのによぉ、それがイヤならしわ寄せは旦那に払わせるしかねぇだろ」
「うぅぅ、主人をそんな目にあわせるくらいなら、私が身体を売ります。だから、主人を連れて行かないで……」
弥穂のクリっとした大きな目から、大粒の涙が溢れて、床に落ちる。愛らしい若妻が涕泣と共に売春を志願する。愛し合う夫婦が無理やり引き裂かれる愁嘆場は、サディストにとっては大好物だ。鷹藤も子安も、股間の辺りに急激に血がたぎってくるのを感じる。
「弥穂、俺がやる。借金のことも、この店の賃貸契約のことも、俺が決めたことなんだ。君に尻拭いをさせるわけにはいかないよ。それに、君がそんな店で働くなんて……絶対に許せない、認められないよ」
「じゃあ決まりだな。早速今日から入寮してもらう。すぐに迎えの車を呼ぶから、それまで身支度してな」
「な、なんですって!今からなんて、いくらなんでも急すぎます。せめて、一晩だけでもいいんです、主人と話し合う時間をください、お願いです!」
「ふん、却下だ。そもそも、いつまでこの仕事の口があるかわかりゃしねぇ。明日になれば、もう別の誰かに、くくく、どうせ金に困った若い男だろうが、この儲け話は取られちまうかもしれねぇ。旦那の出発は今日だ。でなきゃ、奥さんを本番風俗かSMクラブかに売り飛ばす!どっちが選びやがれ、この、この!」
鷹藤は、勢いに任せて夫婦に決断を迫らせようと煽る。先端に金属片の埋め込まれた特殊な革靴で事務机を思いきり、三度、四度と蹴り上げる。その度に、机はボコ、ボコと無惨に凹みを作る。鷹藤の剣幕に圧倒された零士は、蹴り出されるようにして事務室を出て、最低限の着替えや所持品をボストンバッグに詰め込み始めた。

鷹藤が電話で特殊清掃の業者に電話を入れてから、ものの一時間もしないうちに、マイクロバスが店の前に横付けされた。車の中には、男達が既に四名ほど乗車していた。皆、一様に生気のない虚ろな目をしている。過労のあまり、おかしくなってしまったのだろうか……。 
助手席から出てきた男が、どうやら経営者らしい。せわしなく零士の運転免許証をチェックすると、
「おう、まだ若いし、ちょうどいいな。時間が無いから、仕事の説明は車の中でする。早く乗り込んでくれ」
 去り際に、零士は念押しをするように鷹藤に忠告した。
「鷹藤さん、あんたの言うとおりにしたんだ。俺の留守中に、妻に手をだすようなことがあったら、その時は……ただじゃおかないぞ」
「ははははっ!威勢がいいな、面白いじゃないか。ああ、お前が俺らにちゃんと利息と元本を返済している限り、もちろん奥さんは自由さ。お前の給料は日払いだが、全額天引きされて、うちへの返済に回ることになってる。だから、もしお前がバックレたらすぐに俺たちにも分かるからな。そん時は、即日奥さんと返済プランの練り直しだぞ。さぁもう行け、現場が待ってるぞ」
鷹藤に背中をドンと押され、零士はあっという間にマイクロバスに吸い込まれていく。弥穂は、たまらずガラス窓に顔を振れんばかりに近づけ、「零士さん、ああ、行かないで!」と悲痛な叫びを投げかける。せめてその頬に触れたいとガラスに指を這わせるが、別れを惜しむ時間すら与えられず、マイクロバスは急発進して行ってしまった。

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