[あらすじ]
私の名前は、摩耶。総合商社でOLをしている、二十五歳。 悪質なセクハラに悩んでいたけど、勇気を出して告発した。加害者の上司は、すぐに左遷された。それから私は、大好きな先輩社員と交際中。仕事も恋愛も全てが順調だった。
ある日、人事部から「女子社員向けに、セクハラに関する座談会を開くので、出席してほしい。新入社員研修の一環だから」と言われた。 泣き寝入りする女性がいなくなってほしい。そんな純粋な気持ちで、私は首を縦に振った。

…だけどそれは、巧妙に仕組まれた罠だった。 その先に、自分の恋愛観までも破壊してしまう、淫らな運命が待ち受けているなんて……

2026.01.19 永井 亮
女性一人称、ラブストーリー
読者タグ: なし

「俺、諦めてもいいよ。摩耶さんが彼氏さんとのセックスで、イクところ見せてくれたら」
「……はぁ?何言ってるのよ、バカじゃないの」
「無理かな?やっぱり、うまくイカせてもらえないからかな?」
「そういう意味じゃないの。無茶言わないで、お願い」
「俺、本気だよ。摩耶さんが、他の男とのセックスで、気持ちよくなっているところを見たら、多分もう耐えられない。会社も辞めて、摩耶さんの前から消えてあげる」
「そこまでしなくたって……」
自分の口をついて出てきた言葉に、驚いてしまった。自分をこんな最低な道に引きずりこんだカレなのに。そのカレが、自分の前から消えうせてしまうことを想像して、そのことが恐ろしかった。ためらわれてしまった。

私は、一体何がしたいんだろう
添田さんに愛されながら、同時に西條君と身体の関係を貪りたいと思っている

……そうなのか?そんな最低な女には、なりたくない。弱い自分を、抹殺してしまうなら、この機会しかない。これ以上、西條君との肉体関係に溺れてしまったら、そんな勇気すら、もう持てなくなってしまうんじゃないか。
服を着て、多目的トイレを出た。西條君の手を引きながら。
「見てなさいよ。私には、添田さんが一番なの。添田さんしか、いないんだから」
 
多分、誰だって、私のことを頭がおかしいと思うだろうな。でも、そのときはもうこれしかないという気持ちだった。
気づいたら私は、西條君の手を引きながら、添田さんの部屋の前のドアに立っていた。合鍵を使って、そのドアを開ける。
「添田さんが帰ってきた後は、絶対、音を立てないで。そこでじっとしてて。黙って見てなさい」
 カレを、添田さんの1DKのマンションの寝室の、クローゼットの中に押し込んで、自分はシャワーを浴びにいった。

こんなの、正気じゃない
 それに、もしも、もしも添田さんとのセックスで、イクことができなかったら?

不意に浮かんでくる弱気を、熱いお湯に流し去った。添田さんが帰ってきてから、決心が鈍るようなことがあったら、それは命とりになると分かっていた。

 シャワーから上がって、髪を乾かして、うっすらとだけどお化粧もした。
今日は初めからお泊りするつもりだったから、ちゃんとパンティも可愛いのを持ってきていた。可愛いというのは、下着の大きさのことで、お尻の大きい私が履くと、窮屈で、なんとなくイヤらしい感じがした。でも。あの人はそれが好きだと言ってくれたんだから、これでいいはずだ。
上は、カップのついていないキャミソールだけ。乳首の形がうっすら浮かぶのだけど、それもあの人が興奮するポイントだった。あの人の好きなものを、全部詰め込んで、体当たりするつもりでいた。

鍵の開く音が聞こえる。玄関の扉が開く。疲れた添田さんの表情が、一瞬のうちに、驚きから期待へ、さらには興奮へと変わっていくのが見えた。たまらなく嬉しい。私は、ふしだらな恰好のまま、添田さんの胸元に飛び込んだ。
添田さんは、明らかに昂っていた。ただいま、とか、久しぶりだね、とか言うのも忘れて

「シャワー、浴びてくる」

と言ったから、私たちは噴き出してしまった。
 玄関の扉が閉まる。
「イヤです。待てません」
その場で、玄関口で、スーツのジャケットを脱がせ、ネクタイを解き、ワイシャツのボタンを外した。ベルトも外して、ズボンも剥いだ。ボタンの外れたワイシャツだけの、すこし不格好な姿にした。もうじれったくなってしまって、全部脱がせる時間すら惜しくて、そのまま添田さんを寝室に引っ張っていった。

今夜は、添田さんに思いきり愛してもらう
この身体はきっと、素直に反応してくれるはず
カレに、あいつにそれを見せつけてやる
そうして、この悪い関係を、終わらせる
  
私は、寝室のドアあけて、添田さんをベッドのうえに押し倒した。

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