弥穂が、身も心も省三の奴隷に墜ちたその夜。交合は深夜三時まで続いた。ベッドで交わったあと、バスルームに流れこんでもなお二匹の獣は交尾を続けた。
「ふふ、洗いながしたそばからまた中出ししてたら、キリがないな」
「いいんです、もっと、ずっとご主人様のザーメン、感じていたいから……」
バスルームでも一戦を交えて、温かいシャワーで省三は膣を優しい手つきで洗浄してくれる。弥穂は、多幸感に包まれる。これまでは、誰に犯されている間も、常に零士のことが頭の片隅にチラついた。身体が、生理的に欲情させられていても、心の中には、常に夫がいた。だが、この夜に限っては、弥穂は目の前の省三に夢中になってしまっていた。
ようやく解放され、徒歩で帰宅する間の記憶がはっきりとしない。あまりにも多くのことが自分の身に降りかかってきた一日だった。体力はとうに限界を超え、ベッドに倒れこみ、そのまま深い眠りに落ちた。
霧深い森の中。いずことも知れぬ山中で、弥穂は省三と絡まり合っていた。落葉のベッドがやけに柔らかく、身体を包む。身体を上下互い違いに重ね合わせる、シックスナインの体位で、口腔を巨大なペニスが埋めている。言葉を発することもできないが、それでも呻き声で省三への愛と服従を叫ぶ。すると、ご褒美とばかり、省三の舌がクリトリスを丹念にしゃぶりあげてくれる。いともたやすく身体は絶頂まで誘われ、永遠に続くかのよう喜悦で満たされる……
。
淫らで甘美な夢は、すぐに悪夢へと転じた。
「へへへ、奥さぁん、寝ながらイクなんて、スケベすぎるんちゃうかぁ」
重い瞼を開くと、股間の方から見えたのは省三ではなく、鴻上の禿げあがった頭だった。
「えっ……これは、一体、何なの、どういうこと……」
意識が次第にはっきりとしてくる。ここは、夫婦の寝室。自分はいつのまにか衣服を全て剥ぎ取られており、左右の胸には須藤と三島が、そして股座には鴻上がそれぞれ陣取り、弥穂の急所に吸い付いているではないか。三人の淫鬼たちも既に全裸で、反り返ったペニスを誇示している。
「イヤぁぁぁぁっ!放して、出て行ってください!」
三島が、パニック状態の弥穂の顔の前に、二つのカギを束ねたホルダーを召せつけた。
「んん?忘れたのか、奥さん。あんたの店とこの家は、俺らの遊戯場なんだよ。こうして筑摩さんから合鍵も与えられてる。自由に出入りする権利があるんだよ」
弥穂は、手足をバタバタさせて男達を振り払おうとするが、男性三人がかりで押さえつけられて逃げられるはずがなかった。
「夢の中で筑摩さんとイチャイチャしていたのかな」
「妬けるねぇ、まったく」
須藤と三島が揶揄うように言う。どうやら、寝言で省三の名前を呼んでいたのだろう。それを、絶対に聞かれたくない相手に聞かれてしまった。弥穂は首を横に振り立てて否定する。
「それにしても奥さん、だらしないんじゃないか。せっかく客から予約が入っているというのに、居眠りかい」
ふと時計を見遣る。まだ朝の七時だ。
「こんな早朝からなんて、いくらなんでも……」
「規約には時間の制限もなにもないはずだぞ。我々は三十分前からリクエストを出しているんだ。おおっと、これは、また大遅刻だなぁ」
「な、なんですって、まさか……」
三島の意地の悪い台詞に、弥穂は震え上がった。
「そう、そのまさかや。三人も同時にすっぽかしたわけやから、一人二時間、合計六時間無料プレイゲットやな、はははは!」
「じょ、冗談じゃないわ!そんなの、絶対に、許せません!」
男達の身勝手すぎる言い分に、弥穂は逆上した。このまま言いなりになっていれば、なんだかんだと屁理屈をつけて、男達は利用券の提出を先延ばしにするだろう。その分、この過酷な管理売春の日々が長引くことになるのだ。
弥穂は、もう我慢できないとばかりに、鴻上の肩を蹴り上げ、左右の須藤と三島も押しのけて駆け出す。
「ふふふ、活きがいいな。鬼ごっこといくか」
須藤らは寝室を脱出した弥穂を追った。
2LDKの慎ましい部屋だ、逃げられる場所など、ほとんどない。かといって着衣を全て奪われている状態で外に飛び出すことも出来ない。逡巡しているうちに、追手に弥穂はキッチンの壁まで追い詰められた。
「寝坊したうえに、逃亡か。きっちりお仕置きしてやらないとな」
須藤が、弥穂のライトブラウンの髪を掴むと、乱暴に引っ張りあげた。
「い、痛い、痛いです、止めて!」
須藤は掴んだ髪を放り投げるようにして突き放した。勢い、弥穂は床にうつ伏せのまま倒れこんだ。
弥穂は、涙ながらに訴える。
「失礼な態度を取ったことは、お詫びいたします。でも……遅刻扱いだけはどうか堪忍してください。寝ている間になんて、とても対応できませんわ。それに、カードをもって帰らないと、麗奈奥様に……」
昨夜の鞭打ちの痕跡が、いまだ弥穂の雪肌の上に生々しく残っている。情けを乞う視線を向けるが、それが逆効果であることをすぐに思い知らされた。痛めつけられた若妻の後ろ姿を見て、サディスト三人組の目つきは一層残忍に輝きだすのだ。
「なるほど。たしかNGプレイはアナルセックスと傷が残るようなプレイ、の二つだったはずだが、もうこれだけ傷がついているわけだから、少しくらい手荒に扱っても構わない。そういうことらしいぞ」
「そ、そんな、違います」
「違うも何も、私は昨日麗奈夫人に言われたんだよ。奥さんを厳しく躾けてくれってな。ちょっとくらい痛い思いをさせてもいい、だとよ」
「そんな……でも、ご主人様が……」
省三がそんなことは許さない、そう言いかけて、弥穂は思いとどまった。筑摩省三こそが、この強制管理売春の胴元なのだ。急に洗脳が解けたように、そんな男の慈悲にすがることの滑稽さと自分の愚かさを実感する。今は、甘美な肉の悦びの記憶もすっかり色あせ、性暴力に飢えた目の前の男達に対する恐怖に圧倒されている。
「……乱暴はよして!」
須藤が、脱ぎ捨てたスラックスからベルトを引き抜き、威嚇するように床をパチンと叩く。煽られたように、鴻上と三島が歓声をあげる。
「見たところ、身体の前側は無傷のようだ。少しこの乳に痛い思いをしてもらうか」
須藤が乳房に強烈なビンタを見舞う。乾いた音がキッチンスペースに響く。打たれた乳房が、ブルん、ブルんと弾む様子が、異様に艶めかしい。当然のように、鴻上や三島も後に続くので、弥穂の両乳はまたたくまに男の手の型で赤く腫れあがった。
「い、痛いっ!もうやめて、やめてください!」
乳ビンタに飽きた須藤が、今度は弥穂の背後に回って重たげな乳房を握りつぶす。十指を蠢かせる度に、指の隙間からはみ出す豊かな肉が、男らの眼を楽しませる。
「い、いじめないで、もう、やめて……」
「素直になるまで、ひっぱたきつづけるぞ、それ、それ!」
やがて三人は、乳房のみならず、尻や腿、二の腕にいたるまで、柔らかな肉に覆われた部位を徹底的にスパンキングし始めた。延々と張り手が見舞われるので、弥穂の裸身はみるみる赤く染まる。ついに、弥穂は音を上げた。
「もう、許してください、おっしゃるとおりしますから」
「ん?何をするんだ?」
「ですから、む、無料で、抱かれます……」
「なんだその口の利き方は!」
ついに須藤の張り手が弥穂の右頬にまで及んだ。
「か、顔を打つのは、やめ、ああっ」
抗議する若妻の左頬を、須藤は今度は手の甲の部分で打った。往復ビンタで、白い両頬が赤く染まる。
「ああ、許してください。抱いてください、私、皆さんに抱かれたいんです!」
「ほぉ、奥さんが自ら進んで抱かれたいというんだな?」
「……はい。そのとおりです」
「オーケー、じゃあ、これからきっちり六時間、あんたの希望でセックスする。もともと奥さんの方からのリクエストなんだから、当然無料。そういうことだな?」
「はい……カードの方はいただきません、うぅぅ……」
この瞬間、今夜も麗奈に鞭でいたぶられることが確定したわけだが、それでも弥穂は目の前に迫る痛苦への恐怖に、負けてしまった。
暴力に屈した女に対して、さらなる暴力を突きつける快感に、男達は酔いしれていた。男達に四肢を抱き上げられ、再び夫婦の寝室に連れ戻された弥穂は、乱暴にベッドの上に放り投げられた。嵐が過ぎ去るのを待つように、枕に顔を突っ伏して身を固くする若妻のうえに初めに覆い被さったのは、巨漢の鴻上だった。九十キロ近い体重が、小柄な弥穂を圧迫する。(うう、く、苦しい……)野獣の体躯とマットレスの間に挟まれて豊乳がぐにゅっと、変形し、飛び出る。
後頭部の髪をグイっと引っ張り、無理やり顔を上げさせられる。鴻上の右腕が、腕枕のような恰好で右の頬の下に潜り込む。ベッドのうえで、横向きにさせられた弥穂の目の前には、欲情しきって口を半開きにした醜男の顔が迫っている。熱く、臭い息を吐きかけながら、唇を狙われる。
鴻上の舌が、弥穂の口腔内に侵入しようとするが、弥穂は固く顎を閉ざして拒んでいる。
「やれやれ、昨日の調教の効果も一晩で吹き飛んでしもたんかいな」
「鴻上さん、下のお口の方が本心を物語っているはずですよ。さっき私が丁寧に仕込んでおいたんだ。もう準備はできているでしょう」
「そうでんな。ぶち込んだら、いつもどおりベロチューしてくるやろ。ほな、いくで」
弥穂は拒絶の悲鳴とは裏腹に、鴻上のペニスを柔らかく受けいれてしまう。夢うつつの中で鴻上によって施されたクンニリングスで、既に一度達してしまっていたのだ。火釜で打たれる鉄のように熱く、固い男根で刺し貫かれると、「あぁっ、うぅぅ……」と艶っぽい声が漏れ出る。
ゆっくりとした抜き差しが一定のリズムを刻み始める。ペニスがそのまま零れおちそうな程に腰を引かれると、行かないで、というように膣が急速に収縮する。そこからいきなり秘奥に到達するような強烈な一突きが繰り出されると、弥穂はたまらず肉悦を叫んでしまう。さきほどまで鴻上に向けられていた嫌悪の眼差しはすっかり影を潜め、いまや瞳はトロんと潤んでいる。
「ははは、ほんま、須藤先生の言うとおりや。ほら、弥穂、舌出してワテのベロ吸うてみぃ。やらんへんかったらこのままお預けやぞ」
鴻上は意地悪く腰の動きを中断する。膣粘膜が、肉棒との摩擦を懇願するように、強烈な疼きの波を全身に送る。弥穂の脳は、膣からくる信号に操られるように、醜悪な風貌の男の舌を吸い上げていく。
中年男の口臭と不快な苦味が顔の周りや口の中を満たす。普通の感覚であれば吐き気を催してもおかしくないのだが、マゾ症状に犯された若妻には、不思議とそれが快楽のエッセンスになってしまう。膣襞の蠢動にシンクロナイズするように、情熱的に鴻上の舌を吸い上げる。
「ひゅー、妬けますねぇ。新婚夫婦みたいに熱々じゃないですか」
三島に冷やかされて一瞬躊躇いがちに制止する。だが、まもなく鴻上に腰をズンと、一突きされ、継続を促されると、再び濃厚なキスが始まる。
「奥さん、いや、弥穂。あれ、言うてくれや。この前うちの店でおねだりしたやろ。あれ、須藤さんと三島さんにも聞かせたって」
「な、何の話でしょう……」
知らないふりをする弥穂だったが、鴻上が何を求めているのかは、明らかだった。夫のいる身で、膣内射精を、そして子種をねだる、その背徳的な求愛。夫に対する裏切りを言語化するのは身を切るような罪悪感を伴う。だが、一度口にした後は解放感からか堰を切ったように膣の運動が一層活発化する。味をしめた鴻上は再びその快楽を貪ろうとしているのだ。
「い、イヤです、もう、今日は、中は、中で出すのはやめてください……」
弥穂にはひとつ大きな不安があった。男達に抱かれる日は、事前に麗奈から必要量のピルを渡されることになっている。(弥穂は、筑摩夫妻の手中に渡ってからというもの、ほぼ毎日服用していることになる)
だが、早朝の寝込みを襲われたとあって、今日は飲めていないのだ。鴻上は、ここにぶっかけてやるぞ、と意志を示すように、亀頭を子宮の最奥にグリグリと押し付けては弥穂の狼狽を誘う。
弥穂が手足をバタつかせても、巨漢はビクともしない。腕の中でロックオンされた若妻の耳元に脅しを吹き込む。
「ええか?うちらのセックスは生中出しと決まっとる。避妊が出来てないのは、それは奥さんの責任やろ。観念しておねだりせぇや、早う」
「む、無理です、うぅぅ、大変なことになりますから、どうか……」
「素直におねだりしたら、後で事後ピルを渡したる。ふふ、今日は一人三発は犯るやろうな。孕まされとうなかったら、言わんかい」
「ほ、本当に、お薬は、用意していただけるんですか……。絶対、絶対に、約束してください」
「ああ、約束したる。ワテはドラッグストアのオーナーやぞ。それくらいは楽勝や」
(ああ、これは、前にも……)
弥穂は、鷹藤とその手下に犯された時のことを思い出した。あの時も、アフターピルを餌に、延々と犯されることを受け容れざるを得なかったのだ。妊娠させられる、女の、そして人妻の弱さが、たまらなく悔しい。弥穂は、屈辱に眉根を「ハ」の字に歪めて、耳元に吹き込まれた台詞を吐きだす。
「わ、私、鴻上さんと……こ、こっ……・子作りエッチが、したいです。中で、生の、せ、精子が欲しい……お、お、オマンコの、一番、子宮の奥でいっぱい、出して。鴻上さんの、赤ちゃんが、欲しいんです、あああ」
既婚者として、最低な口上を述べさせられるその間、自分を取り囲む六つの好奇な眼球に凝視され、身体は羞恥で固く強張っていた。だが、自ら発した子作り、精子、子宮といった言葉の毒に犯されたように、一言一言が膣に響く。言い進めるごとに秘奥から湧く密は量ととろみを増していくのが、自分でも分かる。
「やっと素直になったなぁ。これは筑摩さんに嫉妬されそうで怖いわぁ、はははは!もう、オマンコの中なんかもう溶岩マグマみたいにあっつうなっとるで」
弥穂を、仲間の須藤と三島の眼前で屈服させたことで、鴻上は上機嫌で、ねちっこいピストン運動を続ける。三島が呆れた声でいう。
「鴻上さん、今日は時間まだたっぷりあるんだから、一発目はサクッとお願いしますよ。後がつかえているんです」
「ほいほい、よぅ分かりました。ほなそろそろ本気のピストン始めよか」
鴻上が、腰の動きにギアを入れてきた。一撃一撃が深く、激しくなる。さらに、最奥をノックした後にそのまま全体重を乗せてくるので、秘めたる器官は無惨にも押し込められる。
「あ、あぃぃぃぃぃぃぃっ……」
まるで、押しつぶされたポルチオ器官そのものが悲鳴をあげているようだ。
「手短に済ますにしても、レディがイクより先に果てるわけにはいかんからな。ここを集中砲火して、まずは男としての義務を全うさせてもらいまひょか」
せり出してきた快楽の器官を、高速ドリルのような細かい振動が襲う。
「ああ、そんなに、されたら……」
小鼻がピクピクと動いて、いとも簡単に絶頂の兆しを晒してしまう。
「勝手にイッたら承知せえへんぞ。気をやるときは、ワテの許可をとってからや」
「う、ぅぅぅぅ、もう、ガマンが、くぅぅぅ、出来ません。い、イキたい、ねぇ、もうイってもいいですか……」
「ふふふ、ほんならワテのチンポに心からの感謝の言葉を述べてからやぞ」
「鴻上さんのおチンチンで、き、気持ちよく、していただいて、ありがとうございます……」
「しゃーないなぁ、ほなゴールさせたろか。これでイチコロやろ」
鴻上が、マットレスと弥穂の腰の間に右手を忍び込ませてきた。指はあっというまにクリトリスを探し当て、器用に包皮を剥き上げては突起を摘まみあげた。他方ポルチオを狙い撃ちした高速ピストン運動を継続中だ。官能の二極を同時責めされ、弥穂は呆気なく崩壊させられた。
「い、イク、イクっ、イっちゃう……、あぅぅん!」