気まずい静寂が暗闇を満たしていた。姉弟は、交わす言葉も見つけられないままだ。つい先刻、互いに別々の方法で性を貪ったせいか、狭い箱の中はむせ返るような香りが充満し、この惨状が現実であることを物語っている。
「純平…ごめんね、あなたのこと、守ってあげられなくて…」
「…おねえちゃん、あんな奴らのが、そ、そんなによかったの」
「な、なにを言うの!あれは、言わされて…」
「そうかな…そうは、見えなかったよ…」
表情こそ見えないものの、純平が落胆しているのは、痛いほど分かった。それも、自分が暴行されたこと以上に、雄星と宗介に絶頂に導かれたことにこだわっている。誰よりも大切な弟の、棘のある言葉が、里穂の心を抉った。やがて里穂は、返す言葉もなく、すすり泣きを始めた。
「…お、おねえちゃん、ごめん。こんなこと、言うべきじゃなかった」
気丈な姉の涙に、純平は動揺した。弾みで言ってしまった自らの言葉が、姉の傷口を抉った。なんとかその背中や肩を撫でさすって、慰めたい。だが、後ろ手縛りに縛られている状況では、ままならない。
傷ついた二人は、それでも、なんとかお互いの体温で癒し合おうと、身体を寄せ合った。互いの顎を相手の肩に乗せると、零れ落ちる涙が、頬と頬の間に感じられる。不自由な抱擁を通じて、互いの体温が交換される。
里穂は、両脚の間に純平のペニスが熱を帯びつつあるのを感じた。
(まずいわ、ここでは絶対にダメ…)
これ以上弟を刺激すまいと、身体を引き離そうとするも、ここは狭いロッカーの中だ、身じろぎひとつしても、接触しないではいられない。そうこうしている間も、若い生殖器官は、むっくりと立ちあがり、自己主張を強めている。固いペニスが内腿の間を微かに前後し、意志を持って擦り付けられているのが、はっきりと伝わる。
「お、おねえちゃん、あいつらのこと、好きじゃ、ないよね?」
「当たり前でしょ!それより、じゅ、純平、変な気、おこしちゃだめよ、ね?」
先刻の壮絶な凌辱劇の悪夢と、裸身の触れ合いが、この暗闇の中で弟を惑わす。悪鬼達に奪われた美姉を取り返したい、その一心で、純平のペニスは愛を求めて彷徨する。やがてツンと上を向いた肉柱で、クレバスがスーッとなぞられると、里穂はいよいよ焦燥感を募らせた。必死で説得を試みる姉の制止も聞かず、純平は亀頭の先を肉割れに突き立てたのだ。
なんとか侵入を防ごうと腰を振り立てるが、都合三度にわたるセックスで慣らされた媚肉は、意に反してやさしく弟を迎え入れてしまう。
(そんな、ゴムも着けてないのに…)
グリ、グリと肉襞をかき分けながら、純平の亀頭全体が里穂の体内にめり込んだ。誰にも渡すものかと、まるで動物のマーキングのように、姉のうなじや、胸元に激しいキスをする。そうすれば、姉はいつものように自分を受け入れてくれるはずだ。そう思い込もうとしているようにも見える。だが、この状況で弟とセックスをすることが、更なる奈落への一歩だろう。少なくとも姉にとって、それは明らかだったが、頭に血の上った弟には理解できないのだろうか。
「ダメだって言ってるでしょ!ここでこんなことをしたら、どうなるか、分からないのよ!」
庇護者であるはずの姉からの激しい拒絶に、純平は耐えられなかった。叫びとも呻きともとれない哀しい鳴き声をあげながら、もうどうにでもなれと、乱暴に、雄牛のように角を突きあげてきたのだ。
「はぁぁぁ!純平!」
制止する里穂の声は、心ならずもどこか艶めく。何度も絶頂に追い込まれ、身体が敏感になっている。だがそれだけが理由ではない。不幸を共にし、背徳的な交わりを結んできた弟を、身体のどこかで愛おしく感じている。姉のそうした反応を、純平は機敏に察している。自分の居場所はここだ、と確信したように、逞しい突き上げを繰り出し始めた。
「ぃぃ、い、いけないわ、もう、しないで、純平、純平!お願いよ…」
窘める声も弱々しく、喘ぎ声交じりになる。これでは、純平の暴走を抑えられるはずもなかった。里穂は、自らの弱さを呪いながら、最後の一線だけは守ろうと、必死の説得を試みた。
何とか中出しだけは避けなければ……。その一心だった。弟の理性を確認しようにも、返事がない。また、暗闇では表情も分からない。里穂は取り乱したように叫んだ。
「純平!落ち着いて!お願いだから、そ、外に出して、ねぇ!」
必死の嘆願も無視するように、肉の突き上げは激しさを増す。不良たちに犯された花園を、自らの生の性器と、精液で、奪い返す、そんな狂気じみた観念が純平を支配していた。
(こ、この子、こんなに激しいの、はじめて…い、いけない、感じちゃ、ダメよ…)
皮肉なことに、雄星たちに触発された形で、弟は力強い雄の性に目覚め、その強引な責めに今自分は翻弄されている。そればかりか、このまま続けられれば、また気をやってしまかもしれない。絶壁の崖を踏み外す恐怖と、このまま実の弟から生の精液を注がれる不安とに、里穂は震えた。
だが、その瞬間はついに訪れることはなかった。純平がラストスパートを始めた矢先、ロッカーの扉が乱暴に開け放たれた。何分ぶりか、それとも何時間ぶりか。時間の感覚はぼやけていた。庫内に差し込む部屋の明かりが、哀れな姉弟の罪を暴く。
「きゃぁぁーーー、何これぇ!」
美玲が大袈裟に騒ぎ立てる。宗介が純平の肩を掴むと、そのまま力づくで後方へ引っ張る。純平は後ろ向けに吹き飛ばされ、背中を床に強烈に打ちつけた。
「やめて、乱暴にしないで!」
倒れこむ純平の元に駆け寄る里穂に、宗介が恩着せがましく言う。
「何いってんだよ、先生、こいつにレイプされてたんだろ?俺が助けてやったんじゃないか、お礼言ってもらわないといけないところだぜ?」
「ち、ちがう、この子が、そんなことをするわけ……」
里穂が言い終わる前に、理沙がカットインしてくる。
「へぇ?じゃあ何、和姦だったていうの?先生が弟君を誘惑したって?」
「…そ、そんなんじゃ」
巧妙な踏み絵に、里穂は押し黙るしかなかった。
「いいわ、何が起こったか、ちゃーんとこれが記録してるから、確認してみましょうよ」
もったいぶった口調で理沙が言いながら、ロッカー内に忍ばせたスマホを拾い上げ、手早く操作すると、密閉空間での淫靡なやりとりが再生された。
「ダメよ、純平!負けちゃだめ、こんなの、いけないわ!い、挿入れないで、ねぇ!」
「あ、あ、あいつらには、いいのに、ぼ、ぼくは、ダメなの、ひ、ひどいよ!」
「そうじゃないの、純平、分かって!こんなのことしてたら、あいつらの思うつぼよ、しっかりしなきゃ、ああぁん!」
挿入前後の押し問答が響き渡る。
「ほら、先生は嫌がってるじゃないか、お前が無理やりチンポ押し込んだに決まってる」
宗介がうなだれる純平に軽く蹴りを入れる。理沙が制止する。
「どうだか。とにかく、最後まで聞いてみようよ」
挿入され、時間がたつにつれて、里穂の声が艶めいてくるのが、はっきりと分かった。はぁはぁという息が、密閉空間の中で、艶めかしくこだましている。
(ああ、私、こんないやらしい声を出していたの…)
音声だけとはいえ、近親相姦の様を克明に記録したこの音源は、生徒達を異様な興奮に引き込んだ。美玲の甲高い悲鳴が響く。
「いやだぁー、センセ、なんか声がどんどんエッチくなってきてるんですけどぉ?」
「まさか実の弟と学校でこんな風になっちまうなんて、ちょっとに引いちゃったな」
雄星が吐き捨てるように言う。
生徒たちの揶揄い、嘲りが、里穂の胸を抉った。スマホは、さらに女教師の弱みを暴き立てた。
「じ、純平、きょ、今日はダメなの、絶対、中で出しちゃだめ、ゴムも、つけてないのよ。大変な、ことに、むぅぅ、なってしまうわ、お願い、分かって…今はダメなのよ」
このセリフに、生徒たちは色めきたった。聞き捨てならないとばかり、雄星が里穂を追い詰める。
「今日はダメとか今はダメってどういうこと?いつもはしてるような言い方じゃないか?」
答えられるはずもなく、里穂はただ俯いて、唇を噛みしめている。
「先生さっきさぁ、弟君とやったのは一度だけだって、そういってなかった?」
「……」
理沙の嘲笑交じりの詰問が、里穂の黙秘を許さない。
「やれやれ、この感じだと、毎日やりまくってる、って風にしか聞こえないんだけど?」
「ねぇ、センセ、どうなのよぉ?お家では弟君とエッチ、しまくってるんですかぁ?ねぇ、正直にいいなよぉ、里穂センセ?」
女生徒たちに追い詰められ、里穂は涙目になりながら、首を力なく横にふっている。
「じゃあ弟君に聞こうか、このおチンチンで、今までおねえちゃんと何回エッチしたのぉ?」
理沙と美玲は全裸のままうずくまる純平を足蹴にし、仰向けにすると反り返ったペニスや睾丸をグリグリと踏み鳴らした。
「い、痛い、痛いよ、や、やめてよぉ!」
激痛に悶える弟の様子を見ていられなかった。里穂は、ついに踏み絵を踏んだ。
「やめて、もう弟を放して!本当のこと言うから…私たちは、純平がこの高校に入るまでは、何度か…愛しあったことがあるわ」
「わぁぁぁっ!ねぇ、理沙、今の聞いた?『愛し合った』だって、ドラマでしか聞いたことないよそんな、セリフ!あっ、ははははは!」
「ふん、そんなキレイなもんじゃないでしょうが。弟とやりまくりましたって、はっきりいいな、この変態教師」
「そ、そんな言い方…」
理沙の毒吐きに、里穂は言葉を失った。だが、その残酷な右足が再び純平の股間を襲ったとき、たまらず、里穂は屈服した。
「ああ、私は、弟と、エ、エッチを何度も、したの…でも、信じて!この子も、私も、もうしないと約束していたの、本当よ。でも、あなたたちが、こんなことをするから、この子、頭に血が上ってしまって…」
「は?なんだよ、僕たちのせいだっていうのか?」
雄星が乱暴に里穂を床に突き倒して、覆いかぶさる。既に二度射精済とは思えないほど猛りきった肉棒を振りかざし、全裸の里穂にむしゃぶりついた。順番から言えば、次は宗介の番だったが、雄星は有無を言わさない気迫でズボンを脱ぎ去り、巨砲を誇示する。
「僕も生で挿入れさせてもらう。ちょうどゴムも切らしてるしな」
直に男性器と触れ合う恐怖から、里穂は思わず身体を捩って逃げようとするが、両手首を後ろ手に拘束されている身では、思うようにいかない。
「い、いけないわ、生でなんて、そんなのダメよ!お願い…」
「却下だよ。実の弟のを生で咥えこんでおいて、ずいぶん勝手な言い分じゃないか」
強引に細足を割開かれ、怒張が突き立てられる。数分前まで弟を包んでいた花園は、今度は雄星の剛直で切り開かれた。
考えたくはなかったが、どうしても純平のそれとサイズを比べてしまう。圧倒的な質量で体内を埋められると、身体の防衛本能からか、粘膜をたっぷりと潤ませてしまう女の弱さが、泣きたくなるほど惨めだ。
勝ち誇った雄星の宣言が聞こえる。
「いいかい?これから先生たち二人を僕らが更生させてあげる。まず、欲求不満の姉貴は毎日犯してやる、弟をたぶらかす暇もないくらいにね」
暴君が繰り出す肉の一撃一撃によって、里穂の中に、被虐の快感が芽吹いていった…。