朝が訪れた。目覚めると、既に森田はトレーニングウェアに着替えており、コーヒーカップを片手に雑誌をめくっていた。平静を装っている森田だったが、その瞳からはいつものぎらつきが消え、むしろ陰気な影を帯びていた。昨日の里穂の言葉にショックを受けたのだろうか、口調も、どこか冷酷な響きがしている。
「里穂、俺は今日、陸上部の方も見ないといけないから、水泳部の方は任せたぞ」
「えっ、私一人で、ですか…」
森田がいない中で、生徒達が暴走したら、という恐怖が頭をよぎった。だが、昨日啖呵を切ったばかりだ、この卑劣感に助けを求めるなど、どうしてもできなかった。
「ほら、今日の水着だ。昨日のよりはましだろ」
手渡されたのは、星園学園の体育の授業で女子生徒が使用する、いわゆるスクール水着だった。
「何せ部員達にシモの世話までしてもらったんだ、偉そうに教師面してられんだろうから、
ちょうどいいだろ?くくく」
侮蔑的な言い方に腹はたったが、それでも昨日の極小ビキニを着せられるよりはマシだ。
抗議の声をぐっとこらえて、里穂は水着を受け取った。
水色のスクール水着に、白いスイムキャップをまとった里穂がプールサイドに現れると、既に待ち構えていた八名の部員達が大歓声を上げた。
「センセ、今日はスク水かぁ。似合ってるじゃん」
「昨日のセクシービキニもいいけど、こっちもムチムチ感が協調されてて、抜けるぜ!」
「ほんとだなぁ、うちの女子たちにはこの色気はでないよな」
昨日散々里穂を弄んだ部員たちは、一年生部員も含めて、もはや何の気兼ねもなく卑猥あ言葉をぶつけてくる。
「でも先生、プール用のオムツはしなくても大丈夫か?はははは!」
「くっ…」
兵藤から意地の悪い軽口をぶつけられ、怒りのあまり、里穂は眉間に皺をよせるのだったが、狡猾な生徒達はそれを見逃さなかった。
「なんだよ、先生、文句あるの?」
「こっちは先生のおしっこ掃除するのに大変だったんだぜ、忘れたの?」
「そうだよ、おネンネしている間に身体の隅々まで洗ってあげたのは俺たちだぜ」
やはり、気を失っている間、生徒達に身体をまさぐられていたのだ。叱りつけてやりたいが、なにせ失禁するところを目撃されている手前、その勇気がどうしても湧いてこない。
俯き加減の里穂に、兵藤が屈服を迫ってきた。
「まずは先生から、お詫びとお礼の言葉が聞きたいなぁ。そうだろ、みんな?」
部員達が口々に同調する。集団で糾弾され、里穂は力なく肩を落としながら、ぼそぼそと呟くように言った。
「昨日は、見苦しい姿を見せて…ごめんなさい。掃除の件も、ありがとう…」
だが、女教師のプライドをズタズタに踏みにじろうと部員たちはさらに具体的な謝罪を要求して譲らない。
「あぁぁ、だから、プールサイドで、お、お漏らしを、してしまって、ごめんなさい。お掃除したり、身体を洗ってくれたり、ありがとうございました、ぅぅぅ」
惨めさのあまり、里穂の目には涙が浮かんでいた。
「さ、もうその辺にしとこうぜ。先生、昨日は先生のせいで全然練習にならなかったんだから、今日はしっかり協力してくれよな。おまえら、位置に着け!」
部長である雄星の号令で、部員達は駆け足で各レーンのスタート台に立った。雄星と宗介だけが、里穂の左右を挟んでいる。
「え、一体、何をするの…?」
ふとプールに目を向ければ、そこにあるはずのコースロープが全て取り払われており、広大な一つの空間が広がっていた。
「今日はこいつらが本気だして泳げるように、先生には、エサになってもらおうと思ってね」
里穂がエサ、という言葉をうまく呑み込めないでいるのもかまわず、雄星が両腕を掴んで羽交い絞めにしてきた。さらに、宗介が両脚の脛のあたりを掴んだ。二人は里穂の上半身と下半身をそれぞれ掴み、持ち上げた。二人の生徒は、振り子のように勢いをつけると、そのまま里穂をプールへと放り投げてしまった。
大きな水しぶきを上げて、里穂の女体がプールのちょうど真ん中あたりに沈む。
「何をするのよ!」
水中から里穂が顔を上げ、辺りを見回すと、左右それぞれのスタート台に、一年生部員達が今にも飛び込もうかという体制を取っている。
「先生、ルールは至って簡単だよ。先生がプールサイドに脱出できれば先生の勝ち。そうなる前に、プールの中で先生にタッチした奴はゲームクリア。先生とセックスする権利獲得。先生はとにかくこいつらに捕まらないように死に物狂いでプールサイドを目指せばいい。簡単だろ?そら、位置について、よーい」
雄星が吹く笛の合図で、一年生部員達が一斉に飛び込んできた。
「嫌よ、来ないで!」
半狂乱の様子で、里穂は岸辺を目指した。計6レーンあるプールだが、短い方の辺を目指せば、十五メートルもないだろう。泳いだ方が早いだろうが、足がすくんでうまくいかない。無様に手で水をかきながら歩みを進めていると、ドルフィンキックで左右の部員が見る見る近づいてくる。死にものぐるいでプールの淵に手をかけ、なんとか上体を持ち上げようと思った瞬間。後ろから双乳を思いきり鷲掴みにされ、水面に引きずり降ろされた。
「はい、ターッチ!残念でしたぁ」
おどけたような声の主は、兵藤だった。
「一着、兵藤!」
勝利を告げられ、上機嫌な兵藤は里穂の身体に纏わりついて離れようとしない。
「ほら、はやく振りほどいて逃げないと、他のやつも追いついちゃうよ?乱交パーティがしたいのかなぁ?」
「放して、放しなさい!」
押し問答しているうちに、他の部員達五名に廻りを包囲されてしまった。
「ごめんよぉ、先生、オレっち仲間想いだからさぁ、一人だけ先生と抜け駆けするなんてできないんだ」
満面の笑みを浮かべた生徒達が口々に、ターッチと言いながら、羽交い絞めにされた里穂の四肢を撫でまわした。
「そんな、嫌よ、こんなのダメ!誰か、森田先生、助けて!」
大声で助けを求める里穂を見下ろしながら、宗介が言う。
「森田先生は今日陸上部の活動だから、練習メニューは俺たちの好きにしていいって言ってたんだよ。もちろん、このゲームのことも承認済みさ。後で確認してもらってもいいぜ」
(ああ、なんてことなの…まさか、昨日のことを逆恨みして…)
昨日、結婚を持ち出した森田のことを突き放したことが思い出された。趣味の悪い冗談、嫌がらせだと思っていたが、今思えば、あれば森田なりの本気だったのかもしれない。自棄を起こした森田が、腹いせに生徒をけしかけたのだろうか。里穂は怒りに任せた昨日の言動を悔いたが、もはや時すでに遅し。こうなったら生徒達は里穂と一戦交えない限り収まらないだろうし、森田が助けに戻る気配もない。
「こんなの、許されないわ!私は、教師なのよ!みんな落ち着いて、考え直して!」
全身を振り乱しながらが藻掻く里穂をあざ笑うように、六人の部員の魔手が里穂の恵体を撫でまわす。生徒の一人がスクール水着の肩ひも部分を掴み、ずり下げようとすると、里穂は反射的にその頬をビンタした。
「痛ってぇ、なにすんだよ!」
強烈な一撃を食らって、生徒がひるんだすきに、里穂は包囲網から飛び出そうとした。とはいえ、相手は六人がかり、しかも幽霊部員もいるとはいえ、皆水泳部員だ。簡単に逃げ切れるはずがない。すぐに取り押さえられてしまう。プールサイドを悠然と歩きながら、雄星が後輩部員達に語りかける。
「お前らに、ひとつヒントをあげよう。昨日の水中フェラ覚えてるだろ?先生は少し水を飲ませてやると、おとなしくなるぞ」
「な、なんてことを…」
両腕を掴まれ、更に後頭部を水面に向かって押し付けられる。十秒、二十秒ほどの水責めだが、効果は覿面だった。
「はぁ、はぁ、はぁ、もう、許して、く、苦しい…」
窒息の恐怖が、里穂の抵抗心を削いだ。おまけに今日は森田がいない。限界以上に水責めを食らわされれば、命に関わる。
もはや、美人教師は弱々しく首を振りながら、
「やめて、許して!」
と叫ぶことしかできなくなった。それをいいことに、発情しきった部員たちは、形のいい双乳や、水着に収まりきらない尻肉を揉みしだく。神輿を担ぐように、取り囲んだ部員たちが里穂の身体を持ち上げる。水面辺りに浮かべられると、今度は水着を乱暴に引っ張り、乳首を露出させる、あるいは股間部分の布地を思いきり引っ張りあげ、肉割れに食い込ませたりと、淫らな悪戯をし放題だ。雄星が大きく手を叩き、部員たちを制した。
「もうその辺にしとけ。六人もいるんだ、もたもたしてたら日がくれてしまうぞ。先生をプールサイドに引き上げるんだ」