「疲れたな。そこのコンビニに寄ろう。お前も腹減ったろう?」
下村の運転するステーションワゴンは、高速道路を降り、幹線道路を走っている。もう三時間ほど走った後だから、栃木県内には入っているはずだ。
「今ですか……私は、結構です。それより、あとどれくらいですか?」
「ふん、さあな。こっちは運転で疲れてるんだよ。オナニー三昧のお前は充電十分かもしれないけどよ」
まるで自分が好きこのんで自慰行為に耽っていたかのような言い方をされ、弥穂の表情が歪む。国道沿いの、大きな駐車場付きのコンビニに吸い込まれていく。
「私は、ここで待っています」
「ダメだ。お前も来い。そのデカ乳揺らして俺についてくるんだ、早く!」
コンビニの駐車場には、下村のステーションワゴンの他、一目で工事業者のものと分かるピックアップトラックが泊まっていた。店の入り口付近の灰皿のあるあたりに土木作業員風の男達三人組が煙草を片手に屯しているのが目に入った。
車を降りて店の方へ向かってくる弥穂の姿を目ざとく見つけた一人が、「見ろよ、あのねぇちゃん!」と叫んで指をさしてくる。歩く度に波打つ乳房に、血走った六つの眼球からビームが注がれ、いたたまれない気分になりながら、重い足取りでコンビニの入り口へ向かう。
下村は、今回は弥穂と腕を組んで歩こうとはしなかった。代わりに、弥穂を一人で店の方へ向かわせ、自分は五、六メートルほど距離を取ってその後を追った。弥穂の羞恥を煽って楽しもうというのだ。ピッチリと尻肉に張り付き、その起伏を浮かび上がらせるマイクロミニのスカート。弥穂が歩みを進める度に、プリっ、プリっと躍動するその肉の質感が布越しに生々しく表現される。(くく、散々生尻を見たはずなのに、不思議なもんだな。このスカートを履いている方がむしろエロいじゃないか)
弥穂は、前から作業員三名の、後ろから下村の劣情に充ちた視線を感じる。顔を朱に染めてコンビニに入店した。
後ろから追いついた下村が、弥穂に声をかける。
「総菜パンと菓子パンを一つずつ、あと無糖の缶コーヒーを買ってきてくれ。俺は外で煙草を吸って待っているから。あ、そうだ、カウンターでフランクフルトも一つな」
弥穂に千円札を突きつけると、下村は踵を返し、店外の灰皿の方へと消えていった。
店内は客こそいなかったが、ちょうど品出しの時間だったのか、レジの他にも、若い店員が二名いた。突然現れた弥穂の、悩ましい肢体に目を奪われて、唖然とした表情を浮かべ、缶ビールを棚に並べる手が止まる。
「あ、あの、そこ、通してください」
若い、高校生くらいの店員たちは、弥穂の恵体に完全に悩殺され、カーディガンのvネックの部分からはみ出た胸の膨らみを食い入るように見つめている。あまりに心を奪われたせいか、自分たちが通路を塞いでいるのも気づかないほどだった。(ああ、もうそんな目で見ないで……)
消えてしまいたいような恥ずかしさを堪えてなんとか会計を済ませ、店の外に出た。煙草を吸い終えた下村がベンチに腰を掛けている。このコンビニは、本来は店内にイートインスペースを備えた店舗だったようだが、ウィルスの感染拡大防止のため、店内のスペースは閉鎖され、代りに戸外にテーブルとベンチを設置していた。
「どうだ、デカ乳で注目を集める気分は?」
「は、恥ずかしいです。早く、車に……」
「勘弁してくれ、少しはリフレッシュさせてくれよ。ほら。ここに座れ」
弥穂は、渋々下村の隣に腰を下ろした。マイクロミニのスカートは、着座すると無惨にもずり上がり、もはや股間を覆う機能を十分に果たさない。灰皿の前に陣取る作業員たちに、スカートの中を覗きこまれてしまいかねない。両手で懸命に裾を抑える仕草が、悩ましい。
「で?店の中には何人くらいいた?何人くらいお前の乳をガン見してたんだ?」
「……もう、いい加減にしてく……ああん!」
下村が、カーディガンの布越しに、豊かな胸の膨らみを襲った。そのまま、勢いよく掬い上げられた乳房は、大きくブルん、と弾む。
「何をするんですか、やめて!」
思わず大声で抗議するが、すぐに後悔した。それが作業員たちの視線を引き付けてしまったのだ。騒動を起こす方が悪いとばかり、その眼差しは先ほどにも増して無遠慮になってくる。左手で胸元を、右手は依然、股間のデルタ地帯をカバーしている。羞恥に震えながら、男達の視線から身を守ろうとするその仕草はしかし、逆に獣欲を掻き立てることを、弥穂は知らない。
「おい、反抗する気か?」
「そんなつもりじゃ……でも、人が見ているんです」
「ああ、見せつけてやれよ。こんな田舎じゃ、お前みたいなエロい女に巡りあうこともないだろう。社会奉仕、ボランティアだよ。手を頭の後ろで組め。私のお乳を触って、てな」
「無理です、そんなこと……ねえもう許して……」
「ここで置いていってやろうか?ああ?あっちのオッサン達に家まで送ってもらうように頼めよ」
「そ、そんな……」
弥穂は、どんな理不尽な要求も呑まざるを得ない自分の立場の弱さを呪いながら、震える手を頭の後ろで組んだ。
下村は、弥穂に買わせたパンを頬張りながら、弥穂の無防備な乳を揉んだ。身を捩る度に、ジリ、ジリとスカートがずり上がる。たまらず戒めを破って、裾を引っ張るが、すかさず下村が内腿にビンタを飛ばす。パシーンという音が響き渡る。透き通るように白いその柔肌は、真っ赤に腫れ上がった。暴力の恐怖から、反射的に両手は元の位置に戻る。必死で両膝をこすりつけんばかりに足を閉じるが、デルタ地帯に注ぎ込まれる作業員たちの視線で、身を焦がされる。(まさか、見えてないわよね……)
なにしろ雲一つない快晴で、日差しが照り付けている。あまりにも短いスカートの布地は、十分に影を形成していないかもしれない。下着も何もまとっていない股間が、男達の前に晒されていると思うと、背筋が総毛立つ。
ふと男達がしゃがみ込んでこちらをうかがっているのが、目に入った。(ああ、やっぱり、覗かれているんだわ!)おまけに、全員が片手にスマホを握りしめている。こんな痴態を、撮影されているかもしれない。我慢できず、弥穂は下村に涙交じりに哀訴する。
「し、下村さん、と、撮られています。お願いです。言うとおりにしているじゃありませんか。もう、許してください……」
「なに、この距離じゃはっきりとは映らないだろうさ。それに、さっきはあんなに至近距離でケツの穴までみせつけた癖に、今更出し惜しみしなくてもいいだろう」
無神経な言動に、弥穂は眉間に皺を寄せる。今は下半身だけでなく、顔も完全に晒しているのだ。だが下村はそんなことはお構いなしに続ける。
「それより、朝からほとんど何も食ってないだろう。このフランクフルトはお前のために残しておいたんだ。ほら、よく味わえ」
下村は、このコンビニチェーンの名物、ジャンボフランクに、ケチャップを勢いよくかけると、弥穂の口元に近づけた。
「なあ、俺がいいっていうまで噛むなよ。まずは舐めて味わえ。さ、舌だして」
弥穂の唇に対して、左右にフランクフルトが行き来する。渋々と出した舌が、ケチャップを掬い上げるが、まるで味がしない。公共の場で、破廉恥な恰好を晒しながら、男性器を想起させるような肉の塊を舐め上げているのだから、無理もない。
「もう、いいでしょう、食べたくありませんから」
抗議する弥穂の口に、今度は肉の棒が真っすぐに突き立てられる。前後に乱暴な抽挿を繰り返される。両手は依然として頭の後ろで組まされているので、その姿はさながらイマラチオだ。
「いい加減学んだらどうだ?反抗的な態度を取ったら、泣きを見るのはいつもお前だろ?」
意地悪く言いながらフランクフルトを突き刺した串をグイグイと奥に突っ込む。えづきそうになりながら、涙を浮かべる弥穂の姿を陶然と眺めている。
「素直になるか?」
弥穂は苦しさに耐えかねて、大きく首を縦に振る。下村により、グイっと肉の塊が引き抜かれ、弥穂は咳き込み、うずくまっている。ちらりと脇を見遣ると、作業員たち三人はじりじりと距離を詰めてきているではないか。男達のだらしなく、呆けた表情が、いまやはっきりと見て取れる。許しを請おうと下村の方を見遣るや否や、いきなり背中を押され、弥穂はベンチから地面へ両手をついて倒れた。
「ほら、食わせてやる。齧りとれよ」
ベンチに踏ん反りかえった下村は、フランクフルトを自分の股間の位置にセットした。垂直に突き立てたそれは、遠目にはペニスにしか見えなかった。下村の股間の前に跪いた弥穂は、恐る恐る「食事」を始めた。
先端を咥えて、一噛み。カリっという小気味よい音は聞こえるが、相変わらずその味を感じる余裕などなかった。先端から、やがて尖った串の部分が現れた。喉奥が突かれるのが恐ろしく、弥穂は首を傾けて、側面部分を上から下に齧りながら移動していく。それはまるで、丁寧に茎胴を舐め上げる口唇奉仕をそのものの動きだ。
後方の作業員たちには、弥穂の頭部の裏側にあるものが、本物のペニスであると信じきっているようだ。もはやこちらにも聞こえるような声量で煽り立ててくる。
「なあ、あれが、痴女ってやつか?すげえぞ、すごすぎる!」
「違いねぇ、飛んでもねぇ淫乱女だ!」
「いや、違うんじゃないか。どうもあの男に弱みでも握られて、無理やりやらされてるように見えるぞ。性欲処理専用の愛人ってところじゃねえか」
「どっちにしても、たまんねぇ目の保養だぜ。ああ、俺もしゃぶってもらいてぇ!」
見ず知らずの男らの情欲に充ちた視線と言葉を降り注がれ、弥穂は惨めさに震えた。
「まったく、おっせえよ。やっと終わったか。ほらもう行くぞ」
ようやく弥穂が「食事」を終えると、下村は立ち上がり、スタスタと車に向かった。下村の顔に、マスクが装着されていることを認め、弥穂は憔悴した。今や、病院どころか、あらゆる公共施設は、感染防止のためのマスクを装着していない限り、入館を拒否される。ましてや今から入院患者もいる病棟を訪ねようというのに、弥穂はマスクの類を一切持ち合わせていないことに今更ながら思い至った。
「あ、あの、マスクを、買う必要があります……」
「ちっ、ああ、持ってきてなかったのか。ったく、ほら、早くかってこい」
下村は、弥穂に五百円玉をぶっきらぼうに押し付けると、ライターを取り出し、煙草に火をつけた。
コンビニ店内に入り、改めて棚を見渡すと、すぐに視界に入ってきたのは、「マスク売り切れ」の張り紙だった。店員に食い下がるように確認を求めるも、結果は同じだった。
青い顔をしながら出てきた弥穂が、声を震わせながら下村に告げる。
「一枚も……ないそうです……」
「ほんとうか。確かに日本中マスクが不足してるって話だからな。仕方ないから、帰るか」
「いや、そんなの、あんまりです。ああ、どうかこのあたりにスーパーや薬局があるはずです。その、携帯で探してください!」
「そんなかったるいことしてられないぜ、いつ入手できるか分かりはしないんだからな。この分だとこの辺一体売り切れだろうよ」
「ああ、私、どうしたら……」
「なぁ、ダメ元で、あのオッサン達に余分がないか、聞いてみろよ」
「えっ……」
ふと目を遣ると、男らは三人揃いも揃って、更なる淫らな展開を期待しているのだろう。
粘着質な視線をこちらに向けているではないか。こんなに、不潔で、粗野な男達に歩み寄って、マスク一枚を恵んでくれるように乞わないといけないのか……。弥穂が逡巡していると、下村が痺れをきらしたように、強引に弥穂の手を引く。
「あぁ、ちょっと、待ってください、い、痛い」
「ちょっとすみませんが、私の妻に、マスクを一枚恵んでくれませんか?どうも品切れみたいでね。今から病院に友人の見舞いに行くんだが」
「マスクかい?まあ、無いわけないけどな、最近は手に入りづらいからなぁ」
「あ、あの……そこをなんとか……」
この場では、自分は下村の妻を演じないといけない。困惑の表情を浮かべながらも、弥穂は調子を合わせた。至近距離で対峙する作業員たちは、眼を血走らせながら、カーディガンの隙間から覗く乳房に、あるいはマイクロミニのスカートから伸びる白い腿に視線を這わせてくる。いや、それだけでは、飽き足らず、後ろに回り込んで、薄布を窮屈に押し上げる尻の肉の陰影を盗み見たりと、全く遠慮がない。いたたまれなくなった、弥穂は泣き出しそうな様子でただ視線を地面に落としている。
「あんたら、東京から来たんだろ?こっちは、新型ウィルスのせいで何から何まで物不足なんだ。マスク一枚とっても、貴重品なんだよ。タダでとは言わないよな?」
リーダー格と思しき年長の作業員が切り出す。弥穂は、助けを求める視線を下村に寄せる。
「もちろん、対価はしっかり払いますよ」
弥穂が安堵のため息を漏らしかけたその瞬間、下村の口から信じがたい台詞が飛び出した。
「だが生憎持ち合わせがなくてね。妻がフェラ奉仕をして返すというのはどうです?」
「な、何を……そんなの、絶対む……」
弥穂の抗議を遮りながら、下村は続ける。
「さっきもご覧になったでしょう?弥穂は、ああ、妻のことだが、いわゆるニンフォマニアってやつでね、男のペニスのことしか考えられなくなる時があるんです。ついさっきも発作を起こして大変だったんだけどね。今すぐフェラがしたいというので、代りにフランクフルトを魔羅に見たてて食べさせてようやく落ち着いた、というわけなんです。落ち着くと少し正気に戻るんですがね、何、またあなた方のチンポを見たら、喜んで咥えますよ。ちょうど私一人では持て余していたくらいなんです。遠慮なさらずに。」
男達は、込み上げる笑いが抑えられない。潜在一隅のチャンスに色めき立っている。一も二もなく下村の提案する取引に応じた。いくら品不足とはいえ、弥穂のような美女の口唇奉仕を受けられるなら、マスク一枚など取るに足りない。
「だが、約束してくださいよ。本番は無しです。それに時間がないからフェラ奉仕は一人だけにさせてもらう」
年功序列の秩序に従って、リーダー格の男がフェラ奉仕の権利を得た。比較的若い、といっても三十代後半から四十代の二人は、落胆の色を隠せない。
「まあ、自分で慰める分には文句ありませんがね。後始末くらいは弥穂にさせますよ」
あまりに不公平な取引に、弥穂はとても納得がいかない。たかがマスク一枚のために、見知らの男の性欲処理をさせられるなど、受け入れがたい。声には出さなかったが、下村の肩を揺すり、首を横に振りながら拒絶の意志を示す。
「嫌なら例のビデオを売るってことにしてもいいぞ?どうなんだ?」
鷹藤とのセックスを収めたビデオをチラつかされ、弥穂は反撃の芽を簡単に摘まれてしまった。
「じゃあ、弥穂、さっさと始めてくれ」
「こ、ここで、しろと……?」
コンビニの入り口の喫煙コーナーで、フェラチオ奉仕を要請されている。非現実的すぎる状況に、弥穂は軽い眩暈を覚えた。
「旦那、さすがにそれはちょっとまずいでしょう。通報されかねないじゃないか。ワシらのトラックの中ですればいい」
「そ、それも、イヤです……」
赤の他人に痴態を目撃されることも恐怖であったが、下卑た男達に狭い暗所へと連れ込まれるのもまた耐えがたい。他人の眼がなければ、男達がどんな暴挙に及ぶか分かったものではないのだ。
「まったく、しょうがない女だな。妻のワガママをご容赦ください。そうだな、あなた方のトラックの裏の物陰でやればよいでしょう。それなら周りから覗かれることもないでしょうから」
弥穂は、下村に手を引かれ、軽トラックの裏へと連行された。
「じゃあ、私は向こうで煙草を吸っていますよ。私がいたらやりづらいでしょうから。頃合いを見て戻ってきます。時間がないので、なるべく手短にお願いしますよ」
「そ、そんな、待って!置いていかないで!」
追いすがるような弥穂の悲鳴に、下村はぞっとするような冷酷な笑みを返すと、背中を向けて去っていった。
「ねぇちゃん、さっさと職長のチンポしゃぶれや」
若い方の男二人に肩を掴まれ、無理やり膝立ちにさせられる。正面には、職長と呼ばれる古老の男が、既に作業着のズボンを膝までずり下げて、仁王立ちの姿勢だ。どす黒いペニスを誇示するように、弥穂の方へ突き出している。部下の二人に後頭部を押されては抗いきれない。弥穂の美貌は瞬く間に職長の毛むくじゃらの下腹部に埋もれる。汗で据えた匂いと、もじゃもじゃとした陰毛の感触が鼻孔を襲い、弥穂は美貌を歪める。鼻を摘ままれ、半開きになった唇に肉棒がねじ込まれた。
「くぅー、たまらん唇だぞ、これは。頬の裏がぷにぷにしてて、生あったかい。オマンコしてるのと変わらんくらいだ」
職長は、腰を勝手気ままに突き立てて、弥穂の口腔粘膜との接触を愉しんでいる。苦悶に歪む弥穂の、許しを請うような視線も、劣情に油を注ぐ効果しかない。
「俺らも乳揉みくらい、したっていいよな?」
背後から、部下の二人が、弥穂の双乳に襲い掛かった。カーディガンのボタンが一つ二つと外され、半ば露出していた乳房がいよいよ全開になってしまう。飛び出した乳房の頂に、ガムテープが張られているのを見つけた男らは、いよいよ大はしゃぎだ。
「ノーブラだとは思っていたが、道理で乳首が透けないわけだ」
「こんな無粋なものは取ってしまおう」
左右の乳首を覆うテープが、ビリっと音を立てて引き剥がされる。
「ひぃぃっ」
ひりつくような痛みのせいか、あるいは恥ずかしい部位を青空の下に晒すことの羞恥のせいか、弥穂はあえかな声をあげる。露わになった薄紅色の乳輪と、微かに勃起した乳頭に、男達はむしゃぶりついた。乾いてざらついた唇が、過敏な頂を食む。ジュル、ジュルリと露骨な音を立てながら、男達は顎を割ひらき、大きな口を開けて、乳房全体を頬張る。チュウ、チュウっときつく吸い上げ、大きなキスマークをつけようとしている。口唇奉仕を受けられない切なさからか、なんとかこの美女に自らの痕跡を残したい、そんな本能的な行為だろうか。
「むぅぅん、む、むぐぅぅぅぅ」
抗議の声は、怒張に遮られる。職長によって頭部を鷲掴みにされているので、口腔を貫くペニスを吐き出すことは叶わない。職長の腰の突き上げはいよいよ暴力的な激しさを帯び、行為はイラマチオというべきものに変わっていった。むふん、むふんという吐息が、次第に艶めく。度重なる凌辱体験とその中で迎えた絶頂の記憶からだろうか、弥穂は乱暴に口内を蹂躙されるだけで、甘い痺れが脳を揺さぶられるようになりつつあった。
「ああ、たまんねぇ。なぁ、ねぇちゃん、手でいいからよぉ、やってくれよぉ」
若い男二人は、悩殺的な色香を放つ弥穂の様子に我慢ができず、作業着のズボンをずり下してしまった。
弥穂は、左右に並んだ屹立をそれぞれの手であやすことを強制された。もはや、抗う気力がわかず、ただ男達をフィニッシュに持ち込み、この場から解放されることだけを願って、懸命に扱きたてた。
何しろ、先刻からの弥穂の露出プレイを目の当たりにしながら、ひっそりとポケットに入れた手でペニスを弄っていたので、男達の輸精管は既にみっちりと充填済みの状態であった。弥穂の柔らかで、少し冷たい手の感触がペニスを包むともうひとたまりもない。握った手がほんの十回ほどのストロークを加えると、左右の男達はあっけなく暴発した。
「ああ、チクショウ、もう、ガマンできねぇ、クソ、クソぉぉぉ!」
「俺もだ、で、出る、出るぞぉ!」
ドピュ、ドピュ、ドピュ、ドピュ。
あまりに唐突に湧き出た間歇泉に、弥穂は思わず握った手を放す。噴射をなんとか手で押さえようとするが、時すでに遅く、白濁液は弥穂の栗色に輝く髪を強かに打ち付けた。(ああ、頭になんて、かけないで、イヤよこんなの!)
「ワシも、もう出すぞ。ねぇちゃんよぉ、ごっくんしてくれよ、いいよなぁ?そら、出る、出る、出るっ!」
最後の力を振り絞るように、職長が弥穂の頸を引き寄せる。喉奥で、銃口からドロっとした汚濁を吐き出す。むせ返りそうな性臭と、不快な触感、苦味が口腔内を満たす。職長は、弥穂が飲み干すまで決して許さないといわんばかりに、掴んだ指の力を緩めない。弥穂は、吐き気を堪えながら、毒液を嚥下していく。
「全部飲んでくれたんだろうな、ええ?」
涙目の弥穂が上目づかいで訴えかけながら、頷く。
ようやくペニスを引き抜かれるや否や、残さず飲み干したことを証明させられる。ときおりむせ返りながら、弥穂はどうにか口を大きく開いて、その中に白濁が残っていないことを示す。
恐る恐る、髪の上に乗っかった白濁に手を触れる。(こ、こんなに……)ライトブラウンに美しく染め上げた髪を、信じられないほど大量の精液が汚している。頭頂部から前髪の辺りまでを隈なく粘液が覆っている。なんという惨めな有様だろうか。弥穂は、さめざめと泣いた。これから夫と再会するというのに、頭髪に見知らぬ男らによる汚辱の痕跡を残されているのだ。
「ねぇちゃん、ありがとよ。俺の部下が粗相してすまなかったな。これ、使ってくれや」
弥穂は、職長から手渡されたハンカチで、頭部の白濁を拭った。拭っても、拭ってもキリがなく、ハンカチはすぐにそれ以上水分を吸収しきれないほどにべとべとになった。頭髪の上に取り残された精液は外気に晒されて次第に乾き、凝固し、凄惨な斑点模様を弥穂の頭部に描いていた。
ふと気づくと、傍らに下村が戻ってきていた。
「終わったか、弥穂。ん?なんだ、せっかくもらったマスクがもうぐしゃぐしゃじゃないか」
「えっ?」
はっとして、手の中の布切れを見遣る。ハンカチだと思い込んでいたそれは、綿製のマスクだったのだ。見知らぬ男に口唇を捧げてまで手にしたマスク。あろうことがそのマスクまが男達の白濁によって汚染されてしまったのだ。
「いや、そんな……」
「俺らのザーメン、マスクの裏でゆっくり味わいなよ」
「これだけたっぷりしみ込んでんだ。中々匂いも取れねえだろうな」
「……か、代りのものを、ください。こんなの、あんまりです!」
「もう一枚ほしいんかい。なら、もう一回戦、してもらおうかのぉ」
「生憎そんな時間はない。悪いが失礼するよ。弥穂、行くぞ」
「あぁ……」
弥穂は、下村に手を引かれ、ステーションワゴンの中に吸い込まれていった。
追いすがるように、男達が未練がましく何やら叫んでいるのが、下村の運転する車は、足早にコンビニの駐車場を後にした。