恥獄パンデミック 若妻美容師 弥穂の場合 > 第2章 新しい職場、忍び寄る魔手
[あらすじ]
人妻で美容師の弥穂は、夫の零士とともに小さなヘアサロンを開業する。だが時を同じくして、新型ウィルスの伝染病が日本で猛威をふるっていた。

客足は遠のき、ついにはロックダウンで街はゴーストタウン状態に。
ウイルスの全世界的な拡大を前に、夫婦の蓄えはみるみる枯渇していく。
友人で、地元の信用金庫に勤める下村にだまされ、零士は筋の悪い金を掴まされる。やがてヤクザまがいの借金取りが現れ、零士は強引に危険なウイルスの"除染現場”へと連行されてしまった。

最愛の夫と引き裂かれた弥穂。零士が過労によって倒れたことで、「返済の代わりに」と、弥穂は借金取りたちによって身体を弄ばれ、犯されてしまった……。

縋るような思いで下村に助けを求める弥穂。だが、卑劣漢の本性を現したその男の手で、決して引き返せない、性の奈落へと引きずりこまれていった…… 。

2026.01.23 永井 亮
凌辱、NTR
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夫を攫われ、借金取りに口唇奉仕を強いられたその夜、弥穂はサロンの床に突っ伏したまま、しばらく立ち上がることが出来なかった。愛する夫が、非人道的な労働現場へ送られ、しかも自らの肉体は好色鬼達に狙われている。
ようやくショックが少し落ち着くと、今度は激しい自己嫌悪に襲われた。どうして、夫を行かせてしまったのか。このように半ば強制的に連行するなど、許されるはずがない。警察に相談すべきだったのだ。今からでも交番に駆け込むべきではないか?とっさの機転で、零士を攫って行ったマイクロバスのナンバーは記憶している。
だが、混濁する記憶の中で、鷹藤が去り際にいった台詞が、脳裏に蘇ってくる。
「いいか、あの業者の裏には、海外のマフィア組織がついている。警察に訴えたりしてみろ。奴らは証拠隠滅のために平気で旦那をコンクリ詰めにして海に沈めるような相手だ。変な気は起こさないほうがいいぞ」
 ただの脅しかもしれないが、万が一にも事実だとすれば、自分の行動によって夫の命が危険に晒される。そう思うと、決心が鈍る。(今日は、何も考えられない……とにかく、帰らなくては)
 愛する夫との愛の結晶、ともいうべきこのヘアサロンが、拉致とレイプ未遂の現場となってしまった。一刻も早く、この呪わしい現場を離れたい。そして、熱いシャワーを浴びて、眠ってしまいたかった。

 疲労困憊しているはずなのに、眠りは、浅かった。夢と思えぬほどの鮮やかさで、夫を飲み込んで走り去ったマイクロバスの映像、そして鼻孔を刺す牡の体臭、喉奥と口腔を満たす白濁の苦味が蘇ってきて、目が覚める。束の間眠れたのかどうかも、はっきりしないまま、いつしか夜が明けていた。
 散々迷った末、警察への届け出は見送った。とにかく、夫からの連絡を待つことにした。もし、夫がとても耐えきれないような搾取を受けているのであれば、その時は迷わず警察に行こう。こうして、一応の決心をつけた。
 何気なくつけたテレビのニュースは、いつになく陰気だ。感染者と死者数の増大には、もう麻痺してきていた。その後に、ドキュメンタリー番組で、パンデミック下を暗躍するマフィア組織と、警察を含む行政機関の機能不全が報じられた。借金を盾に奴隷のような労働、あるいは強制的な売春を強いる組織が野放しになっているというのだ。
(ああ、本当に、そんなひどい人たちが……)
 仮に、警察に訴えたとして、今の彼らに犯罪組織を取り締まる力があるのだろうか……。
(あれこれ悩んでいても、どうしようもないわ。私は、とにかく少しでもお金を作って、はやく零士さんを解放しなくては。そうよ、それだけに集中するの。くよくよしている場合じゃない)
 夫を救い出したい、その一心で、同じ日の午後には、弥穂は職探しに着手していた。
駅前の商業施設の二階に、規模の大きな美容室があった。いち早く感染対策(カットスペースの半個室化、消毒や換気の徹底、店舗内で待ち時間が発生しないような、アプリを使った呼び出しシステム等々)を拡充し、非常事態宣言下でも一定の売上を維持しているようだ。
『アズール』という名のそのサロンに、弥穂は電話した。弥穂は簡単に自分の経歴を伝えると(店を開業していることは、伏せておいた)、すぐに面接がしたい、という回答があった。表参道の有名店での経験を重視してくれたようだ。翌日には、店長と面接があり、あっさりと採用が決まった。
その夜(夫と引き裂かれてから二日後の夜だ)、零士から電話があった。スマホからではなく、公衆電話からだった。スマホは、零士の元に届けられたのだが、壊れていて動かなかったという。床にたたきつけられた際に故障したのだろうか。だが、鷹藤の嫌がらせの可能性もある。弥穂は表情を曇らせたが、とにかく夫の無事を確認できて、弥穂は安堵のため息をついた。
「ねぇ、零士さん、どう過ごしているの?危ない目にはあってないの?」
「ああ、なんというか、ここはひどいところだよ。二日働いだだけで、もうダウンしそうさ。一日中分厚い防護服を着たまま、ぶっ通しで作業させられている。逃げ出さないようにって、財布も持ち歩けないんだ。なんとか小銭だけポケットに隠して、こうやって電話できてるけど」
「ああ、そんな……」
鷹藤が言っていたことは、事実だったのだ。
「おまけに脱走する奴を見つけて密告したら報奨金がでるとかいっててさ、相互に監視させられてるんだ。本当に……地獄だよ」
 夫の口から血を吐くように繰り出される言葉に、弥穂の胸は裂かれた。
「あぁ、そんな……ねぇ、零士さん、もう戻ってきて。私、駅前の『アズール』で明日から働くことになったの。お金の方は、私が何とかするから……」
「ありがとう、良かったね。……でもそれじゃあとても足りないだろ?何とか二人とも頑張って、乗り越えなくちゃ」
「……でも……」
「なぁ、弥穂、あれから、あいつらに変なことされてないよな?」
「大丈夫よ。何もないから、安心して」
無理やり口をペニスで汚され、挙句の果てにレイプされそうになった、等と今の零士に伝える勇気は、弥穂にはなかった。

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