カレとワタシのひどく不適切な愛情 > 第1章 セクハラ被害
[あらすじ]
私の名前は、摩耶。総合商社でOLをしている、二十五歳。 悪質なセクハラに悩んでいたけど、勇気を出して告発した。加害者の上司は、すぐに左遷された。それから私は、大好きな先輩社員と交際中。仕事も恋愛も全てが順調だった。
ある日、人事部から「女子社員向けに、セクハラに関する座談会を開くので、出席してほしい。新入社員研修の一環だから」と言われた。 泣き寝入りする女性がいなくなってほしい。そんな純粋な気持ちで、私は首を縦に振った。

…だけどそれは、巧妙に仕組まれた罠だった。 その先に、自分の恋愛観までも破壊してしまう、淫らな運命が待ち受けているなんて……

2026.01.19 永井 亮
女性一人称、ラブストーリー
読者タグ: なし

初めて西條君に会った時。カレは入社時研修を受ける新入社員達の一人だった。講師と言っては大袈裟だけど、私はあるテーマに関する座談会みたいな場で先輩社員としてプレゼンターを務めることになっていた。
あるテーマ、というのはセクハラに関するものだった。私は、自分の実体験を女子社員達に向けて話すことになっていた。

「君たち、今日は当社のビジネスガイドラインについて学んだわね。これからその仕上げ。特にセクハラについて、みっちり学んでもらうからね。研修期間中に早速残業になってしまうのは申し訳ないけど、とても大事な内容なの。だから集中して、しっかりついてきてね。さぁ、今日の特別講師を紹介します。xx事業部一課の、笠谷摩耶さんです」

研修の進行役は、人事部の女性社員、鈴原主任。彼女の呼びかけに応じて研修室の壇上に立った途端、目の前の参加者たちの姿を見て、唖然とした。女子社員向けの座談会だって聞いていたのに、目の前には男子社員しかいなかった。
広すぎるくらい広い研修室に、女性は私と鈴原主任だけ。十数人いる男性社員の前で、すっかり固まってしまった。
「あの……これは、一体……」
 戸惑っている私に対して、優しかったはずの鈴原主任から、今まで見たこともない様な冷たい笑みが返ってきた。本能が、その後に起こる災難を予知したように、悪寒が走る。産毛が逆立つのを感じた。

……そもそも、どうして私がセクハラに関する話なんかをする流れになったのか。その理由は単純。私が以前、悪質なセクハラの被害者だったから。勇気を奮って、被害を告発したから。卑怯な男に立ち向かうことができた、『勇気ある女性社員』ということになっていたから。

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