ジャカルタに到着後、私たちは橘社長と優奈ちゃんの二人と合流した。海外からの要人という扱いなのだろうか、入国審査もその他の乗客たちとは別レーンを通され、あっという間にゲートを抜けて、気付けば、リムジン車に乗っていた。橘社長、優奈ちゃん、染谷に鈴原、そして私の五人を乗せて、夕暮れ時のジャカルタの街を、リムジンが駆けた。
「で、機内ではどんな風に過ごしたのかね、エコノミー組は?」
優奈ちゃんを膝上に乗せた社長が、私たち三人に問いかけてきた。
染谷と鈴原は、ニヤニヤしながら私の顔を覗き込んでいるばかりで、答えようとはしない。私が答えないといけないのか…
「ねぇ、何とかいいなさいよ。それとも動画で見てもらう?」
それはイヤだ。あんな恥知らずな行いを公共の場でする自分を、これ以上見られたくはなかった。
「…ブランケットを借りて、その中で、ぬ、脱がされ、ました」
「脱ぐって、何を?まさか全部かね?」
「は、はい…」
「ははははっ、これは驚いた。おい美冴、誰がそこまでやれといった。会社の信用に泥を塗るつもりか」
「あら、そうですか?そしたらこれ以上は報告しないほうがよさそうですわね」
「他には、何をしたんだ?えぇ、言ってみたまえ、摩耶君」
「え、っと、…その、お、おしっこを座席で…」
「まさか、君、漏らしたのか?」
「い、いえ、違います!そ、その…紙コップの、中に…」
橘社長が腹を抱えて笑う。鈴原と染谷も調子を合わせて、旅の恥はかき捨てだからいつになく大胆だ、いや真正の変態だ、などと言い募ってくる。好きでそんなこと、するはずがないのに。泣きたくなってくる。もう終わりにしてと目線で訴えかけても、許されはしない。
「それだけじゃないわよね?他には」
「もう、いいじゃないですか、これくらいに…」
言い終わらないうちから、せっかく返してもらったショーツを、またずり下げられてしまった。剥き出しの股間を慌てて両手で押さえた。今朝まではあった体毛が、そこにはない。
「返してください…」
「ダーメ。質問に答えるのが先」
「あ、アソコの、けっ、毛を、自分で、剃らされました。ああ、もう、許して、恥ずかしいです」
自分で言葉にさせられると、あの機内で起きたことが生々しくフラッシュバックしてきた。常軌を逸した淫行の数々が…。
「ほぉ、それはすごいじゃないか。見せてみたまえ、摩耶君」
機内と同様、私は左右を鈴原と染谷に挟まれている。両手は払いのけられた。股をすり合わせてどうにか視線から自分の無防備な部分を守ろうとしたけど、その足も結局掴まれて、大事な部分も剥き出しにされた。
「それから、何をしたんだ?ほら、言ってみろ」
恥ずかしすぎて、みっともなさすぎて、私はまたすすり泣いていた。答えられない私を尻目に鈴原が口を開いた。
「剃り終わったアソコを染谷君が蒸しタオルで拭きとってあげたんですけどね。そしたらこの子ったらそれに感じちゃって。もっともっとって言いながら染谷君におねだりを始めて。おチンチンくれなかったら脱いじゃうから、とかいいながら毛布まで放り投げちゃったんですよ」
「ウソです!そんなでたらめはやめてくださいっ…」
「とりあえず宥めるために、染谷君にも協力してもらって。毛布の中で、先の方だけ挿入れてもらったんですけど。この子ったら勢いづいちゃって、グイグイ腰振り出して。丸々二時間は染谷君の大きいのを咥えて放さなかったんですよ。この子の喘ぎ声が響いて他の皆さんの迷惑になるから大変でしたよ、口元を押さえるのが」
言いたい放題言われて、私は下を向いてしまった。
染谷のペニスで、狂わされたことは、事実だった。時折、ああっ!って大きな声が出てしまったことも、何回かあった。最後は、ほとんど気絶しかけていたから、記憶も曖昧なのだけど…
「美冴もエコノミーは嫌だなんだとぶつくさ言っていたが、しっかり楽しんだようじゃないか」
「ふん、あんな狭苦しいところで六時間もいないといけないんですから、これくらいの余興がなかったら退屈で仕方ありませんわ。で、社長と、優奈の方はいかがお過ごしだったんですか?」
「ああ、優奈にはたっぷり休養を取らせたよ。今夜は正念場になるからな」
社長の顔が険しくなった。優奈ちゃんに目を向ける。怯えたような表情で、下を向いている。心なしか、震えているようにも見えた。
リムジンは、ほどなくしてカジノの併設された豪華ホテルに到着した。私たち五人は、二百五十㎡はあろうかという大きなスイートルームに通された。鈴原にシャワー室に連れられた。染谷に注がれた精液が、熱いシャワーで清められた。
シャワーを出て、鏡の前に立つと、体中のあちこちに染谷と鈴原につけられたキスマークが舞っていて、泣きたくなった。
バスタオルだけを身体に巻き付けてリビングエリアに戻ったころには、橘社長と優奈ちゃんの姿はそこにはもうなかった。ソファで新聞を読む染谷の姿だけがあった。二人は、ホテルのロビーで客人を迎えるためについ先ほど出ていった、という。
「そろそろ、ジャカルタ支店長の飯塚さんと添田君が、お客様を空港からお連れして、ここに到着する時間ね」
「えっ、添田さんが、今、ここにですか?」
私は、思わず上ずった声で聞いてしまった。
「そう。今晩の『特別接待』の手伝いをしてもらうことになってるから。うふふふ」
「特別接待って、まさか…」
嫌な予感が塊になってムクムク膨らんだ。普通に考えれば、優奈ちゃんが身体を使って、社長のお客に性の奉仕することになっているはずだ。『特別接待』の言葉にいやらしいニュアンスを纏わせて強調する鈴原のトーンからも、それは明らかだった。そんな不潔な場に、添田さんが同席するなんて…そんなの、イヤだ。私が眉間に皺を寄せていると、鈴原が揶揄うように言う。
「何?不満なの?そうねぇ、優奈のお色気プレイを見たら、添田君、勃起しちゃうかもしれないわねぇ」
「う、言わないで、聞きたくありません。ねぇ、鈴原さん、どうか、彼を、添田さんをそんな汚らわしいところに、巻き込まないでください」
「あれ、ジェラシーかしら。ふふふ、じゃああなたも立候補したら?優奈に張り合って、ねぇ、私の方がセクシーでしょって、聞いてみたら、うふふふ」
「そ、それは…」
「ふふふ、冗談よ。あなたはまだ奴隷としてしっかり教育できてないから、大事なお客さんの前には危なっかしくて連れていけないわよ。あなたには別の形で貢献してもらうわ。それが結果的に添田君を救うことにもなるんだから、しっかり活躍してもらうわよ」
言いながら、鈴原は私の身体からバスタオルを剥ぎ取った。一面ガラス張りの外壁の前で、丸裸にされる。市街の夜景が映るそのガラスに、私の裸身が反射している。
「さて、おめかししていかなくっちゃね」