[あらすじ]
私の名前は、笠谷摩耶。派遣社員。派遣先の会社は例の新型ウィルス感染爆発の影響で全館閉鎖。契約の都合で、在宅勤務も認められず、一時休業状態に。ひそかに好意を寄せる男性社員から、自宅で仕事を手伝ってほしい、と言われてから、私の人生は大きく変わってしまった。

凌辱専業作家が描く、女性一人称作品。「拗らせ女子」が語る、甘く、切なく、狂おしい奈落。

2026.01.11 永井 亮
女性一人称、ハード、処女、拗らせ
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私が絶頂の中で悶えている間に、笹山課長も限界を迎えたらしい。私たちは、(私たちというのはすごく抵抗があるけど)お互いの痙攣を擦りつけあうようにして、快感を貪っていた。いつの間にか、手首の拘束は解かれていて、気が付くと私は両手両足で課長の背中にしがみつくような態勢になっていた。
ああ、何をしているんだ、私は。脅して、無理やりに女を犯すような男に、身も心も奪われるなんて。こんなことが、あっていいはずがない。快感の波が少しずつ収まってくると、今度は自己嫌悪の沼に引きずりこまれていく。
「あの…もう、いいですか」
脱力した男の全体重が私にのしかかってきて、苦しかった。早くこの男から身を離さなくては。あまり刺激しないように注意しながら、私はそれとなく課長の方を両手で押し返した。
「ああ」
男は難儀そうに、身体を反転させ、私の隣に仰向けに寝転がった。
 私は、そっと身体を起こした。添田さんとの行為の後は、いつも多幸感で満たされ、身体が軽く感じていたが、今の私はどうだ。罪悪感と、気だるさ、特に腰の辺りが鉛のように重苦しい。
「…これで、失礼します」
 脱ぎ散らかされた衣服を急いで回収しながら、私は立ち上がろうとした。その瞬間、男の手が、私の手首を掴んで捻り上げた。
「それは困るな。さっき、フロントで聞いただろう。今日は休憩じゃなくて宿泊で予約してるんだ」
「し、知りません、そんなこと、私には、関係ありません!」
「まあそんなに慌てなくてもいいじゃないか。今日は金曜日なんだ。ここで俺と一晩じっくり楽しんだら、お互いの距離も縮まるだろう」
私は課長に抱きすくめられ、頬を分厚い胸板に押し付けられた。私を絶頂に導いたことで、得意になったのか、まるで恋人のような態度で接してくる男に、虫唾が走る。
「わたし、そんなつもりありませんから!これ以上、あなたのいいなりにはなりません!」
振り払おうとしたその瞬間、手首に再び、絶望的な、あの冷たい感触が走った。今度は、両方の手首を背中の後ろで拘束されてしまった。まだ、一切の衣服をまとわない私の裸身を残して、課長はベットから立ち上がった。
「まあ焦るなって。俺も少し疲れたから、ワインを飲んで、ひと眠りするよ。起きたらまた続きをやってやるから、摩耶も少し休むといい」
なんて身勝手な男なんだ…。それに、まるで添田さんがするように、下の名前を呼び捨てにされた。
なんとかして両手の拘束を解こうと、あるいは何とか服を着ようと四苦八苦している私をニヤケ顔で見遣りながら、男はワイングラスを傾けている。
「帰りたいなら帰ってもいいぜ。そのままスッポポンで電車に乗るか?それとも歩いて家まで帰るか?くっくくく」

 男は、宣言通り、ワインを飲み干すとベッドにドカンと大の字で寝転がった。そのまま、ものの一分と経たないうちに鼾を掻き始めた。私は、途方にくれながら、男に背中を向けて自分も横になった。いずれ男は目を覚まし、もう一度私に襲い掛かってくる。この密室で、しかも両手を拘束されて、どうやって身を守ればいいのか。
時刻は、まだ十一時にもなっていない。おまけに、フロントの女性がチェックアウトは十二時だ、と言っていたのが思い出されて、絶望的な気分になる。もし、この男が朝まで眠りこけていたとしても、私をいたぶる時間は十分すぎるほどに残されているじゃないか…。
 
疲れ果てて、いつの間にか眠っていた。二時間ほど経ったころだろうか、遠くで、スマホの着信音が聞こえて、私を眠りの世界から引きずり出した。
これは…私が添田さんからの着信専用に当てたメロディーだ!スマホは、ベッドの向かい側に設置されたソファーの、その上に置かれたバッグの中に入っている。ああ、切らないで、添田さん…。
背中で後ろ手に拘束された両手で、どうにかしてバッグからスマホを取り出す。スワイプして、ようやく通話を始めることができた。背後で寝ている課長を起こさないように、声を殺しながら、私はソファの上のスマホに頬を寄せて、添田さんの声を拾った。
「…摩耶。ごめん、こんなに遅くに。たくさん着信、もらってたね?大丈夫?」
 鶯谷に向かう電車に乗る前。激しい不安に駆られて、添田さんに何度も電話をかけていた。生憎通話がつながることはなかったけど、もし繋がっていたら、耐えきれずに全ての事情を打ち明けていたかもしれない。
「大丈夫です。添田さんこそ、ご無事ですか?」
「うん、なんとか。…正直、状況は悲惨だけどね」
 インドネシアでは、感染爆発が起きているらしい。病院内でも集団感染が起きて、医療崩壊状態だという。そんな社会情勢だから、現地事務所のスタッフもほとんどが出社を拒否しているという。人事系業務の担当者も感染してしまったものだから、給与支払まで滞ってしまい、それがまた社員の反感を買うという悪循環に陥っている…。そんな窮地に、添田さんが放り込まれているのだ。ほとんど、眠ることもできず、彼一人が、事務所で寝泊まりしている…。
私は強い憤りを覚えた。他にも日本人の駐在員がいるはずだ。彼らは何をしているのだ。私の添田さんを、そんな悪夢のような場所に引きずり込んでおいて…。
「ああ、どうか、そんなに無理をしないでください。今、添田さんの身体に何かあったら、私…」
ふと、背後に気配を感じ、悪寒が走る。
眠っているはずの男が裸の下半身を私の背中に押し付けてきたのだ。さきほど変わらない硬さで、下劣な男そのもののような男性器が、私の背骨を突いている。
「き、キャっ…」
「どうした、摩耶?何があった?」
「な、何でも、ないんです。ちょっと、グ、グラスを落としそうになっただけです、ごめんなさい」
 課長の左手が私の乳首を摘まみ上げた。声を出せない私は激しく首を左右に振って拒否の意思を示すけれど、そんなものはお構いなしで、今度は右手が私の股間の方に伸びてきた。まずい、触らせてはダメ!慌てて腿をピタリと重ね合わせたけど、遅かった。男の指は私の割れ目にぴったりと添えられ、私の腿がそれを挟み込むような形になってしまった。
 課長の中指が細かく振動しながら、徐々に私の中にめり込んできた。どうしても、息が乱れてしまう。
「…ふぅ、はぁ、はぁ、はぁ」
 スマホは課長によって取り上げられた。スピーカーモードに切り替えられ、添田さんの声が室内に響き渡る。
「だ、大丈夫、なんか変だよ?」
「なんでも、ないんです…、心配っ、し、ないで…」
課長が、私の耳元で囁き始めた。
「ちっ、添田の声を聞くだけでこんなに濡らしやがって、妬けるぜ、まったく」
 中指の第二関節までが突き立てられた。それが中で屈曲し、あるいは律動することで、私が分泌した愛液のヌラつく音が強調される。
「あいつにも聞かせてやればいいじゃないか、きっと喜ぶぞ。ほら」
やめて!という声をなんとかして噛み殺す。課長の左手に握られたスマホが、私の股の下にかざされた。
大股に思いきり力を込める。何とかして、身体の中で暴れまわるこの蛇を止めなくては。身体の力みに合わせて膣が強烈に収縮した。淫らな水音は、ピタリとやんでくれた。
「ごめん、ちょっと会社の携帯の方に外線が入った。すぐ終わるから、このまま少し待っててくれる?」
「…あっ、はい。そうします」
ふっと力が抜ける。すると猛烈な勢いで男の中指が再びとぐろを巻き始めた。いやらしい粘着音が一層大きなボリュームで室内に響く。
「くくく、さっきのはなんだ?すごい締付だったぞ。これが愛の力ってか。面白くねぇ」
「やめて、聞こえてしまいます。お願いですから、添田さんには…」
「…あ、もしもし、摩耶?ごめんね、お待たせ」
「あ、あぅぅん、添田、さっ、んっ。むふぅん…」
「え、どうした?摩耶?何があった?」
添田さんが電話から戻ってくると同時に、今度はペニスを挿入された。何の断りもなく、そして、コンドームを着けることさえせず…。大声で叫んで、非難したかったが、なす術もなく、私は男に貫かれた。
「むぅぅぅん、何でも、ないんです。ただ、急に悲しくなって、な、涙が、あ、ぁぁん、でてきた、だけっ、う、うぅぅ…」
「くくく、迫真の演技じゃないか、もっとコッテリとヨガリ鳴かせてやるぞ、ほら、ほら」
 膝を床について、上半身をソファに預けた私を、課長は後ろから長いストロークで打ち据えた。筋肉質な男性の太ももが、私の柔らかいお尻のお肉とぶつかって乾いた音を立てる。セックスそのものの音だ。
狼狽えきった私は首を後ろに捩じって、涙目で許しを求める。だけど、男はその様子にさらに興奮を覚えているように見える。激しくなる一方のピストン運動に、私の鳴き声はさらに高まる。(幸いにも私の泣き声が、肉と肉の衝突音を搔き消してくれた)
「摩耶、心配かけて、ごめん」
「そ、添田さんが、謝るような、こ、ことでは…ただ…う、ぅぅぅ、添田さん、もう、戻ってきて。そんな、危ないところにいちゃ、だ、ダメです」
「ああ、気を付けないとね。でも、今が正念場だ、会社の命運がかかっていると思って行って来い、って、笹山課長からも発破かけられているから。ここで頑張って、期待に応えないと」
背後で眠っている男への憎しみで、視界が揺れる。私の添田さんを死地に追いやって、おまけに私の身体を貪っているこの男。もしかしたら、私を陥れるために、添田さんを海外に行かせたのではないか。疑念が沸々と湧いてくる。
だけど、自分の中から込み上げる愛液、それが出し入れのたびにはじけ飛んで、腿の辺りに噴きかかるのを感じると、今度は自分自身が許せなくなってくる。
このままじゃ、いけない。私も、添田さんも人生をめちゃくちゃにされてしまう。
「…はぁ、はぁ、わたし…もう耐えられません。ねぇ、添田さん、どうしても、この会社じゃないと、ダメなんですか?添田さん一人をそんな大変な目に合わせるなんて、ひどすぎます。今感染してしまったら、命に関わります!それに…ねぇ、添田さん、私、話さないといけないことが……」
 通話は、唐突に途切れた。私の様子に異変を感じたのか、笹山課長がスマホの通話を切ってしまったのだ。
「変な気を起こすんじゃねぇよ、全く。たっぷり灸を据えてやらないとな」
「もう、いい加減にして!私、もう覚悟できています!全部添田さんにも打ち明けます!会社にも、人事部にも、あなたたちがしたこと全部!」
「調子に乗りやがって、このアマ、こっちへ来い!」
後背位で、裸のペニスに貫かれたまま、私は再びベットへと押し倒された。

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