[あらすじ]
私の名前は、笠谷摩耶。派遣社員。派遣先の会社は例の新型ウィルス感染爆発の影響で全館閉鎖。契約の都合で、在宅勤務も認められず、一時休業状態に。ひそかに好意を寄せる男性社員から、自宅で仕事を手伝ってほしい、と言われてから、私の人生は大きく変わってしまった。

凌辱専業作家が描く、女性一人称作品。「拗らせ女子」が語る、甘く、切なく、狂おしい奈落。

2026.01.11 永井 亮
女性一人称、ハード、処女、拗らせ
読者タグ: なし

翌朝。涙で目が充血しすぎたせいか、コンタクトレンズが入らなかった。昨夜は、ほとんど一睡もできなかった。せめて眠る前に添田さんの声が聞きたかったけど、結局着信はなかった。瞼の裏で、添田さんを迎えようとしても、何故か浮かんでくるのは、イヤらしく口を半開きにした男性達の顔、顔、顔。耳鳴りのように遠くで聞こえてくる嘲笑。
 結局私は諦めてメガネを手に取った。
京浜東北線の電車に揺られ、窓ガラスに映る自分の姿。こうやって、暗くて地味で暗い自分に逆戻り、か。いや、元の生活に戻れるなら、まだマシだ。愛して、愛されることの喜びを知る前に、戻れたら…。

 更衣室。西村と前島が待ち構えていた。メガネ姿の私をみて、嬉しそうな笑みを投げかけてきた。
「あれれ、また地味子ちゃんに戻っちゃったんだぁ」
「ふふ、その方がお似合いだわ。なんだろうなぁ、イジメやすい感じだし」
「あの…、今日は、普通の制服を着させてください。昨日から、ずっと変な目で見られてるんです」
会社のエレベーターを待つ間も、乗っている間も、見知らぬ男性からジロジロと見られている、気がした。きっと、昨日の私の姿を目にした男の人たちだと思う。
「ふん、自意識過剰なんじゃないの?それに、メガネに戻ってまた目立たなくなっちゃったら勿体ないじゃない。こんなにエロい身体してるんだから、もっと自己アピールしなさいよ」
西村は例の変形制服を、私に押し付けてきた。
「うぅ…もう、許して」
「そうだ、笹山課長のリクエストなんだけどぉ、これも、着けて♪」
押し付けられた制服の、その上に、前島が紙袋をポン、と乗せてきた。中には、黒い、レース地のブラとパンティのセットだった。
(やだ…黒なんて…)
ただでさえ透け感の強いブラウスの下に、真っ黒な下着がどんな風に映るのか、想像するだけで全身が硬直する。しかも、今、なんて言った?笹山課長のリクエスト?つまり、それは…

更衣室に据えられた鏡を、恐る恐る目を遣る。想像したとおり、胸元には、くっきりと下着の輪郭が浮き出てしまっている。昨日以上に変態的に仕上がった自分の姿に私は、絶句して立ち尽くしていた。
「センパーイ、なんかこの子、メガネの方が逆にエロくないですかぁ?」
「ふふ、確かにそうね。ギャップ萌えっていうのかしら。大人しそうな顔して、こんなにぶっ飛んだ格好してるってところがね。男はそういうの、きっと好きよ」
「そ、そんな言い方、しないでください…」
更衣室の出口の前で、膝をガクガク震わせながら立ちすくんでいる私の背中を、前島が囃し立てるようにしながら小突いてきた。
「ほら、殿方がお待ちだよぉ、早く早く♪」

更衣室から自席にたどり着くまでに、他部署の男性達の不潔な視線、不愉快な軽口に幾度となく遭遇した。
「ほら、来たぜ、見ろよ。あれだよ、あれ」
「な、なんだありゃ!誰?誰だよ、あのメガネの子!」
「原油開発部一課の派遣の子。昨日はメガネかけてなかったんだけどな。それよりあの身体、くくくくっ、ムチムチしてたまんねぇ」
「危険を冒して出社してきた甲斐があったぜ、ガハハハッ」
「な、言ったろ。いい一日になるぜ」 
昨日の私の姿は、同じフロアの男性社員の噂になっている。自意識過剰の被害妄想なんかじゃない。これは、現実なんだ…。

「笠谷さん、暇そうね?何もやることがないんだったら、デスクの掃除でもしてもらおうかしら」
所在無く席に腰かけている私の背後から、西村が声をかけてきた。
「そ、掃除、ですか…」
「そう。オフィスの人口密度を下げるとかで、清掃員は三日に一度しか来ないんだから。閉鎖中に埃もたまってるしねぇ。ほら、グズグズしてないで」
いつのまに用意したのか、西村は水を張ったバケツを私のデスクの上に乱暴に置いた。
「あと、これ、雑巾ね」
「これは!何するんですか!」
西村がバケツの中に投げ込んだ白い布。それは、さっき更衣室で、取り押さえられ、無理やり脱がされた、私のパンティだった…。

笹山課長を初め、自部署の島のデスクを拭き上げ終わると、隣の課の席から始めて、フロアの端まで掃除して来いと命じられた。それは許してほしいと言いかけた私のブラウスの胸元に、西村と前島の手がかかった。乱暴に左右に引っ張られて、第二ボタンが弾けとんだ。私は、ヒィっという小さな悲鳴を、なんとか噛み殺した。
抵抗しても、無駄だ、もっと酷い目に合わせてやるからな。西村のギラギラとした目つきがそう言っているように思えて、私は震え上がった。半べそをかきながら、右手にバケツ、左手に、すっかりくすんでしまった白のパンティを、他の人に気づかれないように、固く握りしめ、隣の二課の方へと歩いていく。
「……し、失礼いたします。一課の、笠谷です。お、お席のお掃除を、させていただきます」
「えっ!…あ、そう。わ、悪いね」
デスクの端から端まで隈なく拭き上げろ、そう指示されている。遠目から前島がチラチラと様子を伺っている。手を抜いたら承知しないぞ、というように。
身を乗り出して、向かい合ったデスクの真ん中部分に手を伸ばす。第二ボタンを失った胸元から、ブラの端がはみ出てしまうのを、どうにか左手で隠しながら拭き掃除をしていると、どうしようもなく惨めな気持ちになって、涙がでそうになった。
二課の男性達は、私が掃除をする間、バツが悪そうな、ソワソワと落ち着かない様子だ。時々ゴクリと唾を呑みこむよう音が聞こえた。チラチラと色んなところに浴びせられている視線が痛い。
だが、もっと質の悪いのは、さらに隣にある、三課の男性社員、三人組だった。彼らは、今朝私が更衣室から自席に向かう間に、卑猥な冗談まで投げかけてきたのだ。そんな男たちのところに、自ら進んで飛び込んでいかないといけないなんて…。
「おい、見ろ!こっちまで来たぞ、あの子だ!」
「あ、あの…お、お掃除を」
「ええっ?それよりさぁ、何々、何なの、その制服は?」
「…何って、えっと、どういうことでしょうか…」
「どうしてそんなピッチピチのスカート履いてるのって聞いてるんだよ、くくく」
悔しくて、その場を立ち去ってしまいたかった。質問には答えず、私は拭き上げを始めた。とにかく、一刻も早く終わらせるしかない。
「ほら、席空けてやるから早くするんだよ」
三人組は、立ち上がった。二人が私の背後に、一人はデスクを挟んで私の真向いに陣取った。正面の男性は、鼻の下を伸ばしながら、私の胸元を覗き込むような動作を隠しもしない。
「…あ、あの困ります…」
あまりに恥ずかしくて、弱々しく呟いたが、男は全く悪びれる様子もない。
 ふと、太腿に、生暖かい吐息が触れるのを感じて、私は身を固くした。背後の二人が、しゃがみ込んで、私のお尻、スカートの中を、下から見上げようとしているのだ!
「ひゃっ!」
私は左手でスカートの端を抑え、何とか視線を遮ろうとする。背後の二人は、いら立ったように、威嚇するように舌打ちをしてきた。
「うほっ、ブラちらいただきましたっ、ごちそうさま!」
「い、イヤっ」
 開けた胸元は、抑えていた左手がお留守になって、前の男性社員から中のブラが丸見えになっていた。
前後から信じられないセクハラを受けて、もう我慢の限界だった。私は、上体を起こして、その場を立ち去ろうとした。
「も、もう、これで失礼します!」
「おい、おい、何だよその態度は。これじゃあ仕事の邪魔にしかなってないよ」
「やるなら最後まで責任もってやりきれよな!」
しゃがみ込んでいた背後の二人は、立ち上がって私の背後から覆いかぶさってきた。私の上半身は、再びデスクの上に押し付けられた。
「ほら、手伝ってやるから、こうやって、ゴシゴシ、ってな」
右手首を掴まれ、無理やりデスクの拭き上げを継続されられる。だけど、男の狙いは明らかにそんなことではなかった。左右のお尻に、二つの固い感触を感じる。どさくさ紛れに、アレを、押し付けてきたのだ。
「放して、放してください!何をしているんですか、ここは、会社ですよ!」
「へへ、その言葉、そっくりそのまま返すぜ。イメクラ嬢みたいな恰好しておいて。どの面下げてそんなことが言えるんだ、あぁ?」
グリグリとスラックス越しにペニスを擦りつけられる。荒っぽく、生暖かい鼻息が私の耳やうなじの上に吹きかかる。白昼のオフィスで、三人の男性に組み敷かれようとしている。二本のペニスがますます固く、熱くなるのを感じる。他の社員が、止めに入る気配もない。
このまま、どこまでするつもりなのだろう。恐怖で、意識が遠くなってくる…。
「おい、まずいぞ。見ろ、橘社長が来てる!」
私に覆いかぶさる態勢の同僚二人に前方の男性が、声を殺しながら、呼びかける。ようやく二人は私の身体から離れた。
普段は役員フロアに籠っている社長が、出社してきた社員を労いの言葉をかけに、一般社員のフロアに降りてきたようだ。助かった…。
私は、へなへなとその場で床に座りこんでしまった。

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