カレと、ワタシと、パンデミックと 派遣社員 摩耶の場合 > 第2章 在宅勤務、という名の同棲生活
[あらすじ]
私の名前は、笠谷摩耶。派遣社員。派遣先の会社は例の新型ウィルス感染爆発の影響で全館閉鎖。契約の都合で、在宅勤務も認められず、一時休業状態に。ひそかに好意を寄せる男性社員から、自宅で仕事を手伝ってほしい、と言われてから、私の人生は大きく変わってしまった。

凌辱専業作家が描く、女性一人称作品。「拗らせ女子」が語る、甘く、切なく、狂おしい奈落。

2026.01.11 永井 亮
女性一人称、ハード、処女、拗らせ
読者タグ: なし

二度目のセックスを終えると、もうとっくに終電の時間も過ぎていた。スマホを見ると、母から何度も着信が入っている。そりゃあそうだ。突然の外泊なんて、娘の人生で初めてなのだから。
今日は金曜日。友達の家で遊んでる、と言えなくもないが、こんなに感染症が蔓延しているときに何故?と言われるのは目に見えている。でも、もう碌なウソも言い訳も思いつかなくて、ついにスマホを投げ出してしまった。
始発の時間まで、彼の胸の中で眠ることになった。心地よい眠気の中で、彼の呟きが耳に突き刺さる。
「来週、また、来てくれないかな…」
「えっ…」
「仕事とかじゃなくて…傍にいてほしいんだ」
私は、思わずにやけてしまう。照れ隠しに、彼の胸板に顔を押し付け、瞼を固く閉ざした。

夜明け近く。彼のベッドを抜け出してシャワーを借りた。適温のお湯が身体を洗い流す。心地よいはずだが、微かに香っている彼の香りまで洗い流してしまうようで、切なくなる。
昨夜、彼が二度愛してくれたヴァギナは、生ぬるい温度のお湯でも、すこしヒリヒリとする。でも、昨日のことが現実だったんだと実感できて、なんだかうれしくなってしまう。
浴室から出て、バスタオルだけを纏った姿で寝室に戻ると、添田さんはまだ、スヤスヤと眠っていた。彼の顔をこうしてマジマジと見つめられるのは、チャンスだ。いつも、見つめ返されると恥ずかしくて下を向いてしまうから。
私は、自分を制御できず、眠ってる彼の唇にキスを仕掛けた。程なくして、彼も目を覚ました。
「ん、んっ、笠谷さん、もう起きたの?」
「はい…。あの、添田さん。私のこと、下の名前で呼んでくれませんか?」
「うん、摩耶さん。でいい?」
「摩耶って、呼び捨てにしてください」
「分かった、摩耶。俺のことも、遼平ってよんでいいよ」
「それは…、もうちょっと時間かかるかも…」
「なんだよ、それ」
寝ぼけ眼を擦りながらいう彼が、信じられないくらい、愛おしい。

始発の京浜東北線に揺られていると、彼の不在が、狂おしく、切なく感じられる。彼の手が頬や頭を撫でたりしてくれるその感覚。それを何度も頭の中で反芻するように繰り返す。肌の感触や、体温や、彼の息遣い。それらの記憶が、一駅ごとに薄れていってしまう気がして、焦ってしまう。
王子駅に着くと、私はもう我慢できずに彼に電話をかけていた。
「もしもし、かさた、あ、違う。摩耶。どうしたの?」
「…もう、早速、寂しくなっちゃって」
「うん。俺も、摩耶のこと、考えてたよ」
「ウソです。私の、どんなことを考えてたっていうんですか?」
「えっ?まあ、摩耶の身体のこととか、かな」
「どんなでしたか?私の身体」
「とっても、柔らかくて、優しかった。ずっと、くっついていたくなる」
「いいんですか、そんなこと言って。ほんとに、離れなくなっちゃいますよ。くっつき虫みたいに」
自分にしては、少しは可愛く返せたかな…
「うん、望むところだよ」

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